土地・不動産
四つの地価、路線価、接道、借地、共有。宅地建物取引士の目で見た、土地の値段と使い方の仕組み。
「うちの土地はいくらか」から始めるなら四つの地価の記事へ、相続した土地の使い道に困っているなら接道・市街化調整区域・共有の記事へ。数字はすべて公開データか制度上の目安で、査定額ではありません。土地価格スキャンと組み合わせて、まず桁を掴む使い方を想定しています。
土地の記事は、時系列ではなく「いつ、その知識が要るか」で並べています。値段と書類の読み方が土台で、そのあとは買う・建てる・隣と接する・持つ・売る、の場面ごとです。
1. まず読む:値段と書類の読み方
四つの地価、路線価図、登記事項証明書、公図。どの場面でも最初に出てくる書類。
- 土地の値段は四つある ― 公示価格・路線価・固定資産税評価額・実勢価格の使い分け(2026-09-05)― 同じ土地に「四つの値段」があるのはなぜか。それぞれ誰が何のために決めているのか、相続・売却・税金の場面でどれを見ればいいのかを、宅建士の立場から整理します。
- 地価公示と基準地価の違い ― 3月と9月に出る「土地の値段」をどう読むか(2026-09-07)― 毎年3月に国が出す地価公示と、9月に都道府県が出す基準地価。調べる時点、地点、根拠になる法律が違います。二つの関係、ニュースの上昇率の読み方、自分の土地の近くの地点を探す方法を、宅建士の立場から整理します。
- 路線価図の読み方 ― 数字とアルファベットの意味、相続税評価額の出し方(2026-09-08)― 国税庁が毎年7月に公表する路線価図。道路に書かれた「300D」のような記号の意味、路線価から相続税評価額を出す計算、奥行や形による補正、路線価がない地域の倍率方式まで。相続税がかかりそうか自分で当たりをつけるための読み方を整理します。
- 登記事項証明書の読み方 ― 表題部・甲区・乙区で、その不動産の「今」が分かる(2026-09-09)― 不動産の身分証明書にあたる登記事項証明書(登記簿謄本)。表題部で物件の物理的な情報、甲区で所有者の変遷、乙区で抵当権などの担保を読みます。取り方と手数料、地番と住所の違い、相続・売買・境界の相談でそれぞれどこを見るか、「抹消」の下線の意味を整理します。
- 公図と地積測量図の読み方 ― 境界が分からない土地で、最初に取る二枚の図面(2026-09-09)― 相続した土地の境界が分からない。隣との塀がどちらの土地か曖昧。そのときに法務局で取る「公図」と「地積測量図」は、何が描かれていて、どこまで信用できるのか。明治の地租改正に由来する公図の精度、地積測量図が無い土地がある理由、登記簿の面積と実測が違う「縄伸び」、筆界と所有権界の違い、境界確定の流れを整理します。
- 地目と現況の違い ― 登記は「畑」なのに駐車場、そのままにしておくと何が起きるか(2026-09-09)― 登記簿の地目と、実際の使われ方(現況)がずれている土地は珍しくありません。地目の種類、地目変更登記の義務、固定資産税は現況で課税される仕組み、登記が「田・畑」のままだと売買で農地法の許可が要る問題、相続した土地で最初に確認すること。宅建士の実務目線で整理します。
- 建物の評価と減価償却 ― 相続税では固定資産税評価額、売却時の取得費は年数で減る(2026-09-09)― 建物の値段は、場面によって三つの顔を持ちます。相続税の評価(固定資産税評価額そのまま、貸家は3割減)、売却時の取得費(買った値段から経過年数分を減価償却)、そして実勢価格。相続した実家を売ると税金が思ったより高い理由は、この減価償却にあります。計算式、木造とマンションの償却率の違い、築古の家の扱いを整理します。
2. 買う前に確認すること
重要事項説明、手付金、仲介手数料、名義と控除、取得の税金、古い家の見方。
- 中古住宅の重要事項説明の読み方 ― 宅建士が契約前に必ず見る9つの項目(2026-09-08)― 中古住宅を買うとき、契約の前に宅地建物取引士が行う「重要事項説明」。数十ページの書面のどこを読めばいいのか。登記、法令上の制限、私道、インフラ、建物状況調査、水害リスク、契約不適合責任、手付とローン特約、マンションの管理。宅建士が実際に見ている順に整理します。
- 手付金と契約解除 ― 不動産売買で、やめたいときに何が起きるか(2026-09-09)― 契約のときに払う手付金は、何のためのお金か。手付放棄と手付倍返しによる解除、その期限になる「履行の着手」、ローン特約による白紙解除、違約金、クーリングオフが使える場合。不動産売買で「やめたい」となったときに起きることを、宅建士の実務目線で整理します。
- 仲介手数料の上限 ― 「3%+6万円」の計算と、800万円以下の物件の特例(2026-09-09)― 不動産の売買で不動産会社に払う仲介手数料には、法律で上限があります。売買価格400万円超なら「価格×3%+6万円」に消費税。これは上限であって定価ではありません。計算の仕組み、3,000万円の物件での金額、2024年7月に広がった800万円以下の低額物件の特例(最大30万円)、支払い時期、両手仲介の意味、値引き交渉の現実を整理します。
- 不動産の名義と住宅ローン控除 ― 夫婦で買う家の持分、ペアローン、贈与税の落とし穴(2026-09-09)― 家を買うとき、名義を誰にするかで、住宅ローン控除と贈与税が変わります。持分は「出したお金の割合」に合わせるのが原則で、ずれると贈与税の対象になります。控除は年末ローン残高の0.7%を最長13年、持分と借入に応じて夫婦それぞれが受けられ、ペアローン・連帯債務・連帯保証で受け方が違います。相続した家には控除がないこと、離婚時の名義の問題、親の資金援助の非課税枠を整理します。
- 不動産取得税と登録免許税 ― 不動産を手に入れたときにかかる二つの税金(2026-09-09)― 不動産を買った、もらった、相続した。そのとき「取得したこと」にかかる税金が二つあります。都道府県税の不動産取得税と、登記のときに納める国税の登録免許税。相続なら不動産取得税は非課税、登録免許税は0.4%。贈与と売買では両方かかり、税率も高い。取得の原因別の税率、住宅の軽減、100万円以下の土地の相続登記の免税など、2026年9月時点の仕組みを整理します。
- 長期優良住宅 ― 認定の基準と税の優遇、そして「認定を引き継ぐ」義務(2026-09-09)― 長期優良住宅は、耐震・劣化対策・維持管理・省エネなどの基準を満たし、着工前に自治体の認定を受けた住宅です。登録免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減と、住宅ローン控除の上限の引き上げがあります。代わりに、認定時の維持保全計画に沿って点検と記録を続ける義務があり、売却や相続では認定と記録が引き継がれます。基準の中身、優遇の額、義務、中古市場での扱いを整理します。
- 告知事項と心理的瑕疵 ― 「人が亡くなった家」を、いつまで、どこまで伝えるか(2026-09-09)― 実家で親が亡くなった。その家を売ったり貸したりするとき、買主や借主に「ここで人が亡くなった」と伝える必要があるのか。2021年10月に国土交通省が出した「人の死の告知に関するガイドライン」で、初めて目安ができました。自然死や日常の事故死は原則告知不要、特殊清掃があれば告知、賃貸は概ね3年、売買には期限なし。実務での運用と、売主として押さえる点を整理します。
- 検査済証がない家 ― 古い実家の多くが該当する、売るときと直すときの壁(2026-09-09)― 建物が完成したときに建築基準法に適合していることを示す「検査済証」。2000年前後より前に建った家の多くは、これを取っていません。当時は完了検査を受けない家が普通だったからです。検査済証がないと、増改築の建築確認や住宅ローンで壁に当たります。確認方法(台帳記載事項証明書)、代わりになる調査(ガイドライン調査)、売却時の扱いを整理します。
3. 建てられるか・どれだけ建つか
用途地域、接道、セットバック、斜線、線引き、農地。役所で確かめる法規制。
- 用途地域と建ぺい率・容積率 ― その土地に、どれだけの大きさの家が建つのか(2026-09-09)― 同じ100平方メートルの土地でも、建てられる家の大きさは場所で違います。13種類の用途地域が「何を建てていいか」を決め、建ぺい率と容積率が「どれだけ建てていいか」を決める仕組み。計算例、角地の緩和、高さの制限、調べ方を、宅建士の実務目線で整理します。
- 接道義務と再建築不可 ― 「道路に2メートル」の意味と、建て替えられない土地でできること(2026-09-07)― 建物を建てるには、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない。この接道義務を満たさない「再建築不可」の土地は、なぜ生まれ、何ができて、どう解消できるのか。建築基準法上の道路の種類と、セットバック、43条の許可までを宅建士の実務目線で整理します。
- セットバック ― 狭い道に面した土地で、建て替えると敷地が減る理由(2026-09-09)― 幅4m未満の道路に面した古い住宅地では、建て替えのときに道路の中心線から2m後退して建てなければなりません。これがセットバックです。後退した部分は自分の土地のまま道路扱いになり、建ぺい率・容積率の計算からも外れます。2項道路の仕組み、後退距離の測り方、片側が崖や川の場合、後退部分の税金と自治体への寄付、購入前の確認点を整理します。
- 日影規制と北側斜線 ― 隣の家の日当たりを守るために、自分の家が削られる仕組み(2026-09-09)― 住宅地で家の北側が斜めに削られているのは、隣の日当たりを守る規制のためです。北側斜線制限は低層住居地域で、北側の境界から一定の高さと勾配で建物を制限します。日影規制は、冬至の日に建物が落とす影の時間を、隣地の一定の高さで測って制限します。二つの違い、数値の読み方、3階建てが建たない理由、天空率という緩和、土地を買う前に確認する方法を整理します。
- 既存不適格 ― 違法ではないが、同じ大きさには建て替えられない家(2026-09-09)― 建てたときは適法だったが、その後の法改正や用途地域の変更で、今の基準には合わなくなった建物を「既存不適格」と呼びます。違反建築とは違い、そのまま使い続けて構いません。ただし、建て替えると今の基準が適用され、同じ大きさの建物が建たないことがあります。容積率・建ぺい率・高さ・耐震基準での典型例、増改築のときの扱い、売買・相続での見方を整理します。
- 市街化調整区域の土地 ― 建てられない理由と、それでも建てられる場合、使い道(2026-09-08)― 安いのに誰も買わない土地の代表が市街化調整区域です。都市計画法の「区域区分」で建築が原則禁止される仕組み、それでも建てられる例外(農家住宅・分家住宅・条例で指定された区域)、既存の家の建て替え、売却で必ず確認すること。相続で調整区域の土地を引き継いだ人に向けて整理します。
- 農地転用 ― 畑に家を建てる、農地を売るときの農地法4条・5条の手続き(2026-09-09)― 農地を農地以外(宅地、駐車場、太陽光など)にするには、農地法の許可か届出が要ります。自分で転用するのが4条、転用目的で売買・貸借するのが5条。市街化区域内なら農業委員会への届出で済み、それ以外は都道府県知事の許可で、農地の区分(農用地区域内、第1種〜第3種)によって許可の可否がほぼ決まります。手続きの流れ、期間、必要書類、転用後の地目変更登記、相続した農地を転用する場合を整理します。
- 2025年4月からの「4号特例」縮小 ― 木造2階建ての大規模なリフォームに、建築確認が要るようになった(2026-10-02)― 2025年4月の建築基準法の改正で、木造2階建ての家や延べ面積200平米を超える平屋は「新2号建築物」になり、屋根の全面改修や階段の架け替えのような大規模なリフォームにも建築確認が要るようになりました。どの工事が当たるのか、平屋200平米以下は何が変わらないのか、費用と工期がどう変わるのかを、築40年の実家の見積もり2案で比べます。
- 地区計画と建築協定 ― 建築基準法を守っていても、建てられないことがある(2026-10-07)― 土地を買う、相続した土地を売る、建て替えるときに、用途地域や建ぺい率を調べても、まだ足りないことがあります。地区計画(市町村が決める街のルール)と建築協定(住民が自分たちで決める約束)です。この二つで何が決められるか、違い、登記簿に載らないので役所で調べる必要があること、敷地の最低面積で土地を分けて売れなくなる例を、240平方メートルの土地で整理します。
4. 境界・隣地・道
杭、越境、私道、地役権、分筆、旗竿地。隣との線の話。
- 境界標の種類と読み方 ― コンクリート杭、金属標、鋲、刻印の矢印が指すもの(2026-09-09)― 土地の角に埋まっている杭や金属板が境界標です。コンクリート杭、石杭、金属標(プレート)、金属鋲、プラスチック杭、木杭。それぞれの意味と信頼度、刻印の十字や矢印のどこが境界点か、道路との境界(官民境界)と隣地との境界(民民境界)の違い、地積測量図との照合、境界標がない・動いた・壊れたときの扱い、境界標を壊すと犯罪になることを整理します。
- 隣地との越境と時効取得 ― 塀・屋根・枝がはみ出しているとき、20年経つと何が変わるか(2026-09-09)― 隣の塀がこちらの土地に数センチ入っている。屋根の軒が越えている。木の枝が伸びてきた。境界をめぐる相談で最も多い「越境」について、覚書で処理する実務、建て替え時に是正する約束、2023年改正で変わった枝の切除ルール、そして20年(10年)の占有で所有権が移る時効取得の仕組みと、それを防ぐ方法を整理します。
- 筆界特定制度 ― 隣と境界の話がつかないとき、法務局に「もともとの線」を調べてもらう(2026-10-01)― 土地を売ろうとしたら、隣の人が境界の立会いに応じない、塀の位置で言い分が食い違う。そんなとき、裁判の前に使えるのが法務局の筆界特定制度です。隣の人が協力しなくても手続きは進み、手数料は数千円から。ただし測量費用は数十万円かかり、決まるのは「筆界」で所有権の範囲ではありません。売却を控えた相続した土地の数字で、費用と期間を整理します。
- 私道の持分と通行・掘削の承諾 ― 家の前の道が「他人の土地」だったとき(2026-09-09)― 家の前の道路が市道ではなく私道だった。持分があるのか、通っていいのか、水道管を引き直せるのか。私道の三つの形(共有・相互持合・単独所有)、通行と掘削の承諾、2023年の民法改正で入った「ライフライン設備の設置権」、建築基準法上の道路との関係、相続で所有者が分からなくなる問題を整理します。
- 地役権 ― 他人の土地を通る権利、他人に通られる土地(2026-09-09)― 自分の土地に出入りするために隣の土地を通る、送電線が上を通っている、隣の土地に排水管を通している。こうした「他人の土地を一定の目的で使う権利」が地役権です。通行地役権と囲繞地通行権の違い、登記の意味と未登記でも保護される場合、時効で成立する場合、送電線の地役権と補償、相続や売買でどう引き継がれるかを整理します。
- 土地の分筆と合筆 ― 一つの土地を分ける、複数の土地を一つにする登記(2026-09-09)― 相続した土地を兄弟で分けたい、一部だけ売りたい、逆に何筆にも分かれた土地を一つにまとめたい。そのための登記が分筆と合筆です。分筆に必要な境界確定測量とその費用(数十万円から100万円超)、土地家屋調査士の役割、登録免許税、合筆できない5つの条件、遺産分割で分筆する場合の順番と落とし穴を整理します。
- 旗竿地と変形地はなぜ安いのか ― 土地の「形」が価格に効く理由(2026-09-05)― 同じ面積でも、旗竿地や三角形の土地は整形地より安く評価されます。接道義務、路地状部分、建築の制約、評価の補正といった理由を、実務でよく出る質問に沿って解説します。
5. 災害と地盤
洪水、土砂、擁壁、盛土、埋蔵文化財。地図と条例で先に分かるもの。
- ハザードマップの読み方(洪水・浸水) ― 色の意味、想定最大規模、重要事項説明での扱い(2026-09-09)― 2020年8月から、不動産の売買と賃貸の重要事項説明で、水害ハザードマップ上の物件の位置を示すことが義務になりました。洪水浸水想定区域の色は浸水の深さ、「想定最大規模」は千年に一度級の雨、「家屋倒壊等氾濫想定区域」は流されるおそれ。内水と高潮の別、避難の目安、水災の保険料との関係、相続した土地や購入前の見方を整理します。
- 土砂災害警戒区域と土地 ― イエローゾーンとレッドゾーンで、何が変わるか(2026-09-09)― 山や崖の近くの土地を相続した、買おうとしている。そのとき確認すべきなのが、土砂災害警戒区域(イエロー)と特別警戒区域(レッド)の指定です。指定の意味、レッドゾーンで受ける建築と開発の制限、重要事項説明での扱い、相続税評価の減額補正、固定資産税、売却への影響、そして調べ方(都道府県のハザードマップ)を整理します。
- 擁壁とがけ条例 ― 高低差のある土地で、建てる前に確認する三つのこと(2026-09-09)― 隣地や道路との高低差が大きい土地には、擁壁と「がけ」の規制が絡みます。建築基準法の安全規定、都道府県のがけ条例(高さ2メートル超のがけの近くは建築制限)、既存擁壁の安全性と検査済証、2023年5月に始まった盛土規制法、擁壁のやり直しにかかる費用。高低差のある土地を相続した・買う人が、建てる前に確認する点を整理します。
- 盛土規制法 ― 2023年から、盛土のある土地は「持っている人」の責任になった(2026-09-09)― 2021年7月の熱海市伊豆山の土石流を受けて、2023年5月26日に盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が施行されました。都道府県が指定する規制区域では、盛土や切土の工事に許可が要り、既存の盛土も含めて土地所有者に安全管理の責任があります。規制区域の指定状況、許可が要る工事の規模、既存盛土への是正命令、罰則、そして相続や購入で盛土のある土地を持つときに確認すべきことを整理します。
- 埋蔵文化財包蔵地 ― 土地の下に遺跡があるかもしれないときの、届出と発掘と費用(2026-09-09)― 全国に約46万か所ある「周知の埋蔵文化財包蔵地」の中で家を建てるには、工事の60日前までに教育委員会へ届け出る必要があります。試掘で遺構が出れば、記録のための発掘調査になり、工期が数か月延びることがあります。個人の住宅なら発掘費用は原則公費、事業なら事業者負担。包蔵地かどうかの調べ方、届出の流れ、費用と期間、売買での扱い、相続した土地で気をつけることを整理します。
- 液状化しやすい土地の見分け方 ― ハザードマップ、土地の成り立ち、地盤調査の三段階(2026-09-29)― 地震のとき、家そのものは壊れていないのに、土地が液状化して家が傾く。液状化は「ゆるい砂の地盤」「浅い地下水」「強い揺れ」の三つが重なると起きます。買う前に確かめる方法は三段階で、自治体の液状化ハザードマップ、国土地理院の地形分類図で土地の成り立ちを見る、そして地盤調査。宅建業者の重要事項説明で液状化は説明義務の対象ではない、という盲点も含めて書きます。
- 津波災害警戒区域の土地 ― 「区域内」の一行を、三つの数字に直してから買う(2026-10-04)― 重要事項説明書に「津波災害警戒区域内」とあっても、それだけで家が建てられないわけではありません。警戒区域(イエロー)と特別警戒区域(オレンジ・レッド)の違い、基準水位の意味、確かめる三つの数字(基準水位・床の高さ・逃げる時間)、地震保険、売値1,480万円の中古住宅を買った夫婦の確認の手順を整理します。
6. 持っている間:税金と登記
固定資産税の仕組みと異議、住所変更と抵当権抹消の登記。
- 固定資産税の住宅用地特例と都市計画税 ― 「家を壊すと税金が6倍」の本当のところ(2026-09-09)― 住宅が建っている土地は、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1に軽減されています。これが住宅用地の特例です。古い実家を壊すとこの特例が外れ、「税金が6倍になる」と言われますが、実際の増え方は物件によります。特例の仕組み、200㎡の線、管理不全空家の勧告で特例が外れる制度、都市計画税の意味、1月1日基準日の使い方を整理します。
- 固定資産税の縦覧と審査申出 ― 評価が高すぎると思ったら、4月に確かめて3か月以内に申し出る(2026-09-09)― 固定資産税の納税通知書は、届いたまま払う人がほとんどです。しかし、評価額は間違っていることがあり、確かめる仕組みもあります。毎年4月の「縦覧」で、同じ市町村の他の土地・家屋の評価額と比べられ、自分の評価に不服があれば、納税通知書を受け取ってから3か月以内に「審査申出」ができます。縦覧と閲覧の違い、審査申出ができる年度、実際に見つかる誤りの例、還付の範囲を整理します。
- 住所変更登記の義務化(2026年4月〜) ― 引っ越したら不動産の登記も2年以内に(2026-09-09)― 相続登記に続いて、2026年4月1日から、不動産の所有者の住所・氏名の変更登記も義務になりました。引っ越しや結婚で住所・氏名が変わったら2年以内に登記、怠ると5万円以下の過料。義務化前の変更も対象で、2028年3月末が期限。法務局が住基ネットと連携して職権で変更する仕組み(スマート変更登記)、申請の方法と費用、相続登記との関係を整理します。
- 抵当権の抹消登記 ― ローンを完済しても、登記の抵当権は自動では消えない(2026-09-09)― 住宅ローンを払い終えると、銀行から抹消用の書類一式が届きます。ここで登記をしないと、抵当権は登記簿に残り続けます。売却や相続の場面で発覚して慌てるのが実務の定番です。必要書類、登録免許税(不動産1個につき1,000円)、自分でする場合と司法書士に頼む場合、銀行が合併・消滅していた場合、相続と抹消を一緒にする場合を整理します。
- 固定資産税の課税明細書の読み方 ― 評価額と課税標準額が違う理由、明細書に載らない土地(2026-09-26)― 毎年春に届く固定資産税の納税通知書には、土地と家屋を一つずつ並べた「課税明細書」が付いています。価格(評価額)と課税標準額はなぜ違うのか、住宅用地・前年度課税標準額・減額の欄の意味、税額の出し方。そして、非課税の私道のように明細書に載らない土地がある、という相続での落とし穴。母の家の明細書を持って来た女性の数字で書きます。
- 亡くなった人の固定資産税は誰が払う ― 1月1日の所有者、相続人代表者、現所有者の申告(2026-09-29)― 親が亡くなったあとも、固定資産税の納税通知書は届きます。その年の税は1月1日の所有者(亡くなった親)にかかり、相続人が引き継いで払います。翌年からは、名義が親のままなら「現に所有している者」、分け方が決まっていなければ相続人全員に連帯してかかります。相続人代表者の届、現所有者の申告、相続登記との関係を、年税額12万円の家を例に整理します。
- 建物滅失登記 ― 家を壊したら1か月以内。壊しただけでは、登記の上の家は消えない(2026-10-02)― 建物を取り壊したら、所有者は1か月以内に「建物滅失登記」を申請します。解体業者の証明書があれば本人でも申請でき、登録免許税はかかりません。亡くなった親の名義の家を壊したときに相続人が申請する手順、附属建物の見落とし、未登記の家や他人名義の家が登記に残っているときの道を、実際の費用と合わせて書きます。
7. 売るとき
売却の流れと媒介契約、ローンが残る家、売ったあとの税金と責任。
- 不動産売却の流れと媒介契約 ― 査定から引渡しまでの手順と、3種類の媒介契約の選び方(2026-09-09)― 相続した実家を売る。初めての人にとって、不動産の売却は「何をどの順にするか」が見えないことが一番の不安です。査定、媒介契約、販売活動、売買契約、決済・引渡しの流れと、それぞれの所要期間、そして最初に結ぶ媒介契約の3種類(一般・専任・専属専任)の違いと選び方を、売主の立場で整理します。
- 不動産を売ったときの税金 ― 譲渡所得の計算、取得費が分からない土地の「5%ルール」(2026-09-09)― 土地や家を売ると、売った値段ではなく「儲け」に税金がかかります。譲渡所得の計算式、所有期間5年で変わる税率、相続した土地で買った値段が分からないときの概算取得費(5%)、マイホームの3,000万円控除、相続税の取得費加算。売る前に知っておくべき数字を、宅建士の実務目線で整理します。
- 売ったあとの契約不適合責任 ― 相続した実家を売る人が、告知書と免責特約で決めておくこと(2026-09-25)― 家を売って引き渡したあとに、雨漏りやシロアリが見つかったら、売主は何を負うのか。2020年の民法改正でできた「契約不適合責任」の中身、買主が請求できる四つのこと、通知の期間、個人の売主が使う免責特約と、その特約が効かない場面。相続した実家を売った相談の実際の数字で整理します。
- ローンが残っている家を売る ― 決済の日に完済できるか、足りないときの三つの道(2026-09-25)― 住宅ローンが残っている家も売れます。ただし、買主の代金で決済の日にローンを返し、抵当権を消せることが前提です。売却代金から仲介手数料・印紙・抹消の費用を引いて残債に届くか、届かないときの自己資金・住み替えローン・任意売却。転勤でマンションを売った人の実際の数字で、「これ以下では売れない値段」の出し方を書きます。
- 権利証(登記識別情報)をなくしたら ― 売るとき・贈与のときの三つの代わりと、相続では要らない理由(2026-09-28)― 家を売る段になって、権利証(登記済証・登記識別情報通知)が見つからない。権利証は再発行されませんが、売れなくなるわけではありません。法務局の事前通知、司法書士の本人確認情報、公証人の認証という三つの代わりの違い、売買でどれを選ぶか、費用、そして相続登記では亡くなった人の権利証が原則要らない理由を整理します。
- マイホームを売ったときの3,000万円控除と軽減税率 ― 住まなくなってから「3年目の年末」までに売る(2026-09-30)― 自分が住んでいた家を売って利益が出たら、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。所有10年超なら税率も下がり、二つは重ねて使えます。ただし、住まなくなった家は「3年を経過する日の属する年の12月31日」までに売らないと使えず、親子・夫婦への売却も対象外です。7,800万円で売る家を例に、年内に売るか来年の春に売るかで税金がいくら違うかを計算します。
- 不動産の売買契約書と印紙税 ― 2,800万円なら1通1万円、2通作れば2通分、貼り忘れは3倍(2026-10-05)― 不動産を売る契約の日には、契約書に貼る収入印紙(印紙税)がかかります。税額は契約金額の区分で決まり、2027年3月までに作る契約書は軽減後の額。原本を何通作るかで合計が倍になり、貼り忘れると過怠税で3倍。一方、個人が実家を売るときの領収書には印紙が要らないことがあります。区分の表、消費税の扱い、譲渡費用としての扱いを、相続した実家を姉妹で売った例の金額で整理します。
8. 貸す・借りる・特殊な権利
借地権、法定地上権、賃貸物件やマンションの相続、建て替えの仕組み。
- 借地権の基本 ― 地代・更新・底地、土地を貸している側と借りている側で何が違うか(2026-09-08)― 他人の土地に自分の家が建っている「借地」。借地借家法の普通借地権と定期借地権の違い、地代の目安、更新料と承諾料、相続税評価の借地権割合、そして底地(貸している側の土地)の価値がなぜ低いのか。土地を貸し続けるか売るかを考える前提を整理します。
- 法定地上権 ― 競売で土地と建物の持ち主が別々になったとき、建物が生き残る仕組み(2026-09-09)― 土地と建物が同じ人のもので、片方だけに抵当権が付き、競売で持ち主が別々になった。このとき、建物のために法律上当然に地上権が発生します。これが法定地上権で、建物が「他人の土地の上の不法な建物」にならないための制度です。成立の四つの要件、更地に抵当権を付けたあとに建てた建物では成立しない理由、地代と存続期間、競売物件を買うときの見方、相続との関係を整理します。
- 賃貸物件の相続 ― 大家を相続した人と、借りていた部屋を相続した人、それぞれの手続き(2026-09-09)― アパートや貸家を相続すると、賃貸借契約も敷金も引き継ぎます。遺産分割までの家賃は誰のものか、借主への通知、管理会社との契約、敷金返還義務、建物の相続税評価(貸家は3割減)。逆に、亡くなった人が借りていた部屋の借家権も相続されます。大家側と借主側、両方の手続きを整理します。
- マンションを相続したら ― 敷地権の登記、滞納管理費の承継、2024年から変わった評価(2026-09-09)― マンション(区分所有建物)の相続は、一戸建てと違う点が三つあります。建物と土地の持分が一体の「敷地権」として登記されること、前の所有者の管理費・修繕積立金の滞納を引き継ぐこと、そして2024年1月から相続税評価の計算方法が変わったこと。管理組合への届出、空室のコスト、売る・貸す・住むの判断も含めて整理します。
- 市街地再開発と区分所有 ― 古いマンションと駅前の建物が、建て替わる仕組み(2026-09-09)― 築50年のマンション、駅前の古い商店街。これらが建て替わるには、所有者の多数決と、権利を新しい建物に移す仕組みが要ります。マンションなら区分所有法の建替え決議(2026年施行の改正で要件が緩和)、駅前なら都市再開発法の市街地再開発事業(権利変換で従前の資産を新しい床に置き換える)。それぞれの流れ、反対した人の扱い、相続した古いマンションを持つ人が知っておくことを整理します。
- 親の土地に子が家を建てたら ― 地代なしの「使用貸借」、贈与税はかからないが、相続で起きること(2026-09-30)― 親の土地に子が家を建て、地代を払っていない。この形は民法の「使用貸借」で、贈与税はかかりません。ただ、相続のときは土地が更地と同じ評価で遺産に入り、小規模宅地等の特例が使えるかは「家計が一つだったか」で分かれます。土地を誰が取るかで、きょうだいの話し合いの形も変わります。遺産4,800万円・相続人二人の家を例に、相続税と代償金を計算します。
- 借地の上の家を売る・相続するときの地主の承諾 ― 相続は承諾不要、売却は承諾料、断られたら裁判所の許可(2026-10-06)― 借りている土地の上に建つ実家を相続し、売ろうとしたとき、決まって出てくるのが地主の承諾です。相続で引き継ぐだけなら承諾は要りませんが、第三者に売るには地主の承諾が必要で、承諾料を払うのが慣行です。承諾してもらえないときは、借地借家法19条の「承諾に代わる裁判所の許可」(借地非訟)という道があります。承諾料の目安、地主が自分で買い取ると言い出せる仕組み、競売で買った人の2か月の期限を、更地価格3,000万円の借地の例で整理します。
この棚の参考(公式)
この棚の記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます。
- 国土交通省(土地・不動産・建設業) ― 宅地建物取引業法、重要事項説明、人の死の告知に関するガイドライン、盛土規制法
- 不動産情報ライブラリ(地価公示・取引価格) ― 地価公示・都道府県地価調査・不動産取引価格情報・ハザード情報を地図で
- 国税庁 路線価図・評価倍率表 ― 相続税・贈与税の土地評価に使う路線価
- 法務局(登記・公図・地積測量図) ― 登記事項証明書、公図、地積測量図の取得。住所変更登記の義務化
- 重ねるハザードマップ(国土地理院) ― 洪水・土砂災害・高潮・津波のリスクを一つの地図に重ねて確認
- e-Gov 法令検索(建築基準法・都市計画法ほか) ― 条文の原文。建築基準法、都市計画法、農地法、借地借家法
記事の内容は執筆時点の公開情報と実務経験に基づく一般的な解説です。個別の事案については、公式資料と専門家への相談で確認してください。