学び・資格
資格試験の勉強法と、覚え方そのものを道具にする考え方。
資格試験は、知識の量より「迷いをどう記録するか」で結果が変わる、というのがこの棚の一貫した考え方です。海事代理士を例にしていますが、方法は他の試験にも通じます。過去問ループ・暗記シートスクラッチ・WORD WORLDといったKuraLabの学習ツールは、ここに書いた考え方をそのままアプリにしたものです。
資格を選ぶ、勉強の型を決める、試験ごとに攻める。この順で読めるように並べています。三つの試験はどれも、同じ「確信度で回す」勉強法で取ったものです。
1. 資格を選ぶ・勉強の形を決める
何のために、どの試験を、独学か講座か。
- 資格の選び方 ― 目的・受験資格・試験形式・合格率の四つで絞る(2026-09-09)― 「何か資格を取りたい」から始めると、人気ランキングを眺めて終わります。選ぶ順番は逆で、まず目的(就職、独立、手当、学び直し)、次に受験資格、次に試験形式(択一だけか、記述や実技があるか)、最後に合格率と勉強時間。宅建士・行政書士・海事代理士の三つを取った立場で、この四つの軸の使い方と、過去問ループの国家資格50種の一覧表の読み方を書きます。
- 独学か、通信講座か ― 試験形式と過去問の公開状況で決める(2026-09-09)― 資格の勉強を独学でやるか、通信講座や予備校を使うか。答えは資格ごとに違い、決め手は「試験形式」と「過去問が公開されているか」です。択一のみで過去問が公開されている試験は独学で完結しやすく、論述や実技がある試験は添削や指導の価値が高い。費用の相場、独学で詰まるポイント、講座を使うなら何に使うか、三つの資格を独学で取った立場で整理します。
- 合格したあとの登録 ― 宅建士も行政書士も、合格しただけでは名乗れない(2026-09-25)― 資格試験に合格しても、それだけでは宅建士や行政書士を名乗れません。宅建士は都道府県知事の登録と宅建士証、行政書士は連合会への登録と会への入会が要ります。実務経験がない人の登録実務講習、合格から1年を過ぎると要る法定講習、行政書士の入会金。合格した年に何をすれば一番安く済むかを、宅建士に合格した会社員の実際の費用で書きます。
- 測量士補という選択肢 ― 28問・700点中450点、土地家屋調査士の午前の部が免除になる資格(2026-09-28)― 測量士補は、受験資格のない択一28問の国家試験で、18問正解で合格します。2026年は5月17日に実施、合格率は直近5年で31〜51%。いちばんの使い道は、土地家屋調査士の筆記試験の午前の部(測量の計算と作図)が免除になることです。試験の形、合格率の読み方、調査士と同じ年に受ける組み立て、自分で持っている立場から見た使いどころを書きます。
- 資格試験の一年の暦と受験料 ― 宅建・行政書士・測量士補・海事代理士、申込みは試験の3〜4か月前に締まる(2026-10-02)― 宅建士・行政書士・測量士補・海事代理士の2026年度の申込期間、試験日、合格発表、受験料を一枚の暦に並べました。願書の締切は試験の2〜4か月前で、測量士補は1月、海事代理士は平日の試験です。出題の基準になる法令の日付も試験ごとに違います。四つ受けると受験料は合計2万8,250円。勉強の計画より先に、申込みの日を手帳に書く理由を書きます。
- 教育訓練給付金で資格講座を受ける ― 申し込む前と修了した後、二つの期限(2026-10-04)― 資格の通信講座や通学講座の受講料は、厚生労働大臣の指定講座なら、雇用保険の教育訓練給付金で20〜80%が戻ります。一般・特定一般・専門実践の三種類の給付率と上限、受けられる人の条件(雇用保険の加入期間)、受講前と修了後の期限、受験料が対象にならない理由を、8万8,000円の宅建講座の例で整理します。
2. 勉強法の土台
過去問を正誤と確信度で回す方法の、由来と考え方。
- 「確信度で回す」はどこから来たか ― 元ネタはなく、十数年前に自分のために作ったPHPの過去問システム(2026-09-09)― 過去問ループの「大きな○・小さな○・?・小さな×・大きな×」は、何かの学習理論を元にしたものではありません。十数年前、司法書士試験を受けようとして、6か月の準備期間のうち3か月を使って、PHPとMySQLで自分のためだけに作った過去問システムが原型です。裁断機とScanSnapで過去問を取り込み、五つのボタンで答え、点を1・0.6・0.4・0.2・0で付け、1点が取れなかった問題だけを回す。その設計と、当時の結果(択一は合格ライン、記述で撃沈)を書きます。
- 試験日から逆算する勉強計画 ― 総時間ではなく「残り周回数」で組む(2026-09-25)― 「あと600時間」と手帳に書いて、足りないと青ざめる。資格試験の計画は、総時間で組むと遅れたときに何を削ればいいか分かりません。過去問を何周回せるかで逆算すると、1周目の速さを測るだけで計画が立ち、遅れても削る場所がはっきりします。7月に相談に来た行政書士試験の受験生の実際の数字で、組み方を書きます。
- 条文の読み方 ― 「要件」と「効果」に分けると、法律科目で覚える量が減る(2026-09-25)― 法律の条文は、ほとんどが「こういう条件がそろったら(要件)、こうなる(効果)」の形で書かれています。ここに気づくと、条文を丸ごと覚えなくてよくなり、試験の選択肢は「どの要件が崩されているか」を探す作業になります。取得時効の条文を例に、分け方、ただし書、「又は」「若しくは」「みなす」「推定する」の読み方を、行政書士試験の受験生の実際の変化とあわせて書きます。
- 期間の数え方 ― 「3か月以内」は何月何日までか。初日を数えない原則、月末の扱い、「起算して」の読み方(2026-10-01)― 相続放棄の3か月、準確定申告の4か月、クーリング・オフの8日。法律の期間は、初日を数えない、暦の月で数える、応当日の前日で終わる、という民法の決まりで計算します。ただし「起算して」と書かれていれば初日から数える。資格試験でも実際の相続でも同じところで間違えるので、日付の表で練習します。
- 過去問は一肢ずつ○×にする ― 正解の番号ではなく、肢の数で数える勉強法(2026-09-27)― 過去問を三周して正答率85%なのに、模試では6割台。よくある原因は、正解の番号を覚えてしまい、残りの肢の判断があやふやなまま周回していることです。五肢択一の一問を五つの○×問題に分け、×の肢は誤りの箇所を正しい言葉に直し、確信度も肢に付ける。時間がかかる分、全部ではなく「自信のない問題」だけを分けるやり方と、95問を475肢に分けた受験生の数字を書きます。
- 試験に出る法律は「4月1日現在」 ― 法改正の年に、古い教材のどこを直すか(2026-09-30)― 宅建士試験も行政書士試験も、その年の4月1日現在で施行されている法令から出題します。見るべきは成立や公布ではなく「施行」の日です。2026年度なら、4月1日施行の家族法の改正と住所変更登記の義務化は範囲に入り、6月に成立した成年後見の見直しは入りません。去年の教材を買い直さずに直す手順と、かかった時間を書きます。
- 試験直前の2週間 ― 新しい教材を増やさず、不安な肢だけを回す(2026-10-07)― 試験まであと2週間になると、新しい問題集に手を出したくなります。けれど直前期に点を伸ばすのは、知らないことを増やすことより、「自信がなかった肢」を一つずつ潰すことです。不安な肢が210肢ある人が、14日でどう回すか、日割りの数字、前日と当日の過ごし方、持ち物の確かめ方を、宅建・行政書士・海事代理士の受験に共通する形で整理します。
3. 宅建士
50問の構造、権利関係で8問、法令上の制限で6問。
- 宅建士試験の構造と勉強法 ― 50問の配分を知れば、どこで点を取るかが決まる(2026-09-09)― 宅地建物取引士試験は、四肢択一50問・2時間。権利関係14問、法令上の制限8問、税その他3問、宅建業法20問、免除科目5問という配分が固定されているので、どの分野で何点取るかの設計が合否を分けます。試験の構造、合格ラインの決まり方、分野ごとの攻め方、過去問を確信度で回す方法、合格後の登録までを整理します。
- 宅建士試験の民法の攻め方 ― 権利関係14問で「8問取れば勝ち」の組み立て(2026-09-09)― 宅建士試験の権利関係は14問。民法10問に、借地借家法2問、区分所有法1問、不動産登記法1問。ここで満点を狙うと、宅建業法と法令上の制限の時間を食われて総崩れになります。目標は8〜9問。頻出の論点に絞り、判例の結論を覚え、借地借家法と区分所有法で確実に取り、民法の難問は捨てる。範囲の広さに負けないための、順番と捨て方を書きます。
- 宅建士試験の法令上の制限の攻め方 ― 8問で6問、数字を「表」で覚える(2026-09-09)― 宅建士試験の「法令上の制限」は8問。都市計画法2問、建築基準法2問、国土利用計画法・農地法・盛土規制法・土地区画整理法が1問ずつ。範囲は広いのに出題は浅く、数字の暗記で取れる問題が多い。目標は6問。頻出の数字を表にして覚える、都市計画法と建築基準法は仕組みの理解から入る、農地法と国土利用計画法は「届出か許可か」の型で覚える。8問を25分で終える組み立てを書きます。
- 宅建士試験の宅建業法の攻め方 ― 20問で18問、「数字の表」と「誰が誰に売るか」で取る(2026-09-27)― 宅建士試験の50問のうち20問が宅建業法です。範囲が決まっていて過去問の焼き直しが多いので、ここで18問を取るのが合格の骨格になります。落とす原因はほぼ二つ、数字の取り違えと個数問題。媒介契約の期間・報告・登録の数字を一枚の表にし、8種制限は「売主が業者で買主が素人のときだけ」という向きで覚える。3,000万円の家の例で、手付・保全措置・報酬の上限を金額に直して整理します。
- 宅建の「税・その他」8問の攻め方 ― 税2問・価格1問・免除科目5問を、直前の3週間で拾う(2026-09-29)― 宅建試験の50問のうち、税・価格の評定・免除科目(住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物)の8問は、範囲が広いわりに1問ずつしか出ません。全部を追うと時間が足りなくなります。取る問題と捨てる問題を先に決め、直前の3週間・21時間で6点を拾う計画を、分野ごとの勉強の仕方と一緒に書きます。
- 宅建の登録講習と5問免除 ― 受けられる人、効き目の3年、免除で何点得をするか(2026-10-05)― 宅建業の会社で働く人は、登録講習を修了すると宅建士試験の5問が免除され、45問で受験できます。受けられる人の条件、免除される5問の中身、修了試験合格から3年という効き目、申込みの順番を整理したうえで、過去10年の合格基準点(修了者はいつも5点低い)から「免除で得をするのは、免除科目で落としていた分だけ」という見方を、模試の点数に当てはめて確かめます。
4. 行政書士
300点の構造と足切り、記述式、基礎知識。
- 行政書士試験の構造 ― 300点の配分と、180点を取るための考え方(2026-09-09)― 行政書士試験は年1回、11月の第2日曜日、3時間で300点満点。法令等244点と基礎知識56点に分かれ、合計180点以上、かつ法令122点以上・基礎知識24点以上で合格です。配点の構造(行政法と民法で法令の8割近く)、記述式60点の扱い、足切りの怖さ、そして「180点を取る」ための科目ごとの目標点の置き方を、合格した立場で整理します。
- 行政書士試験の記述式対策 ― 40字で3問、60点を「30点取る設計」にする(2026-09-09)― 行政書士試験の記述式は、民法2問・行政法1問を各40字程度で答える3問60点。配点は大きいのに、採点基準が公表されず、年によって厳しさが変わると言われる、いちばん計算しにくい部分です。択一の知識をそのまま書く「型」、部分点の取り方、白紙を作らない練習、過去問ループの択一周回と組み合わせる手順を、合格した立場で書きます。
- 行政書士試験の基礎知識対策 ― 足切り24点を「守る」設計と、文章理解3問の取り方(2026-09-09)― 行政書士試験の基礎知識(旧・一般知識等)は14問56点。合計で180点取っても、ここで24点(6問)に届かなければ不合格です。2024年度から範囲が変わり、行政書士法などの諸法令が加わりました。文章理解3問を落とさない、個人情報保護法と行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法で3〜4問を固める、時事的な一般知識は取れたら加点。守りの設計と、文章理解の解き方を書きます。
- 行政書士試験の行政法の攻め方 ― 112点を「三つの法律の比べ方」と「数字の表」で取る(2026-09-27)― 行政書士試験の行政法は、択一19問・多肢選択2問・記述1問で112点前後。300点満点の4割近くを一科目で占めます。行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法の三つは、期間・相手・手続きを横に並べて比べると混ざらなくなり、地方自治法は直接請求の数字を表にすると取れる科目に変わります。模試で択一11問だった人が16問に上げた順番を書きます。
- 行政書士試験の民法の攻め方 ― 択一9問と記述2問、76点を「要件と効果」で取る(2026-09-29)― 行政書士試験の民法は、例年、択一式9問(36点)と記述式2問(40点)で76点。行政法に次ぐ大きな科目ですが、範囲は総則・物権・債権・親族相続と広く、テキストの厚さで止まる人が多い科目です。条文を要件と効果に分けて読む方法、記述式の40字の型、2026年4月施行の家族法改正の扱い、試験までの6週間の配分を書きます。
- 行政書士試験の商法・会社法 ― 5問20点を捨てずに、設立・機関・商行為で2問を取りにいく(2026-10-03)― 商法・会社法は択一5問・20点で「捨て科目」と呼ばれがちですが、合格基準の180点まであと4点、という年は珍しくありません。合格基準の三つの線、出題の中心(設立・株式・機関・商行為)、民法と逆になる規定、2020年に廃止された商事法定利率と商事消滅時効、直前2か月で過去問25問を回す計画を、実際の得点表で書きます。
5. 海事代理士
資格の中身、18科目の筆記、冬の口述。
- 海事代理士とは ― 船の登記・登録と船員の手続きを扱う国家資格(受験者向け・依頼者向け)(2026-09-08)― 海事代理士は、船舶の登記・登録、船舶検査、船員の手帳や海技免状など、海に関する行政手続きを本人に代わって行う国家資格です。何ができるのか、行政書士・司法書士との住み分け、試験の仕組み(筆記18科目と口述)、登録から開業まで。受験を考える人と、依頼先を探す人の両方に向けて整理します。
- 海事代理士試験の勉強法 ― 過去問を「確信度」で回すと、何が変わるか(2026-09-05)― 船舶の登記や船員の手続きを扱う国家資格、海事代理士。行政書士として受験準備をした経験から、科目の多い筆記試験を過去問でどう攻めるか、正誤だけでなく確信度を記録する理由を書きます。
- 海事代理士の口述試験 ― 筆記のあとの冬に、四つの法律を口頭で答える(2026-09-09)― 海事代理士試験は、秋の筆記に合格すると、11月下旬ごろに口述試験があります。船舶法・船舶安全法・船員法・船舶職員及び小型船舶操縦者法の四科目を、試験官の質問に口頭で答える形式。一科目数分、合計でも十数分の短い試験ですが、筆記とは別の準備が要ります。形式と合格基準、聞かれることの傾向、答え方の型、筆記の勉強との接続を、受けた立場で書きます。
- 海事法令の地図 ― 船舶法・船舶安全法・船員法・船舶職員法を「籍・検査・人・免許」に分ける(2026-10-03)― 海事代理士の筆記試験で取り違えが多いのは、船舶国籍証書と船舶検査証書のような「似た書類」です。船舶法(籍)、船舶安全法(検査)、船員法(人)、船舶職員及び小型船舶操縦者法(免許)の四つを箱に分け、20トン・5トン・30トン・5年と6年・1年といった数字を、どの法律の線かと一緒に整理します。
- 小型船舶を相続したら ― 船の大きさで窓口が分かれる、移転登録は15日以内(2026-10-05)― 相続の財産に釣り船やプレジャーボートが出てきたら、まず総トン数と使い道で窓口を確かめます。20トン未満の小型船舶は日本小型船舶検査機構(JCI)の登録で、所有者が変わったら15日以内に移転登録。登録とは別に検査があり、検査証書の書換も要ります。登録事項証明書での名義の確かめ方、遺産分割協議書への書き方、手数料の内訳を、実際の相続の例で整理します。
- 船の「登記」と「登録」は別もの ― 総トン数20トン以上の船は法務局と運輸局の二段構え、船舶国籍証書が出るまで(2026-10-06)― 総トン数20トン以上の船は、法務局で「登記」をしたあとに運輸局で「登録」をし、船舶国籍証書をもらって初めて日本の船として航行できます(船舶法5条・6条)。土地と違って窓口が二つあるので、相続や売買で船を引き継いだ人がまず戸惑うところです。海事代理士試験の船舶法でも毎年問われる順番を、父の48トンの貨物船を相続した例で、測度・登記・登録・国籍証書・検認の順に整理します。
この棚の参考(公式)
この棚の記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます。
- 不動産適正取引推進機構(宅地建物取引士資格試験) ― 宅建士試験の実施要領、過去問、合格発表
- 行政書士試験研究センター ― 行政書士試験の実施要領、出題範囲、過去問、合格基準
- 国土交通省 海事局(海事代理士試験) ― 海事代理士試験の実施要領、筆記・口述の日程、過去問
- e-Gov 法令検索 ― 試験科目の条文の原文
記事の内容は執筆時点の公開情報と実務経験に基づく一般的な解説です。個別の事案については、公式資料と専門家への相談で確認してください。