学び・資格 2026-09-09

行政書士試験の基礎知識対策 ― 足切り24点を「守る」設計と、文章理解3問の取り方

行政書士試験の基礎知識(旧・一般知識等)は14問56点。合計で180点取っても、ここで24点(6問)に届かなければ不合格です。2024年度から範囲が変わり、行政書士法などの諸法令が加わりました。文章理解3問を落とさない、個人情報保護法と行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法で3〜4問を固める、時事的な一般知識は取れたら加点。守りの設計と、文章理解の解き方を書きます。

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「文章理解は、国語だから勉強しなくても取れると思っていました」。前年に基礎知識の足切りで落ちた受験生の言葉です。前年の基礎知識は14問中5問。文章理解は3問中0問でした。理由を聞くと「時間がなくて、最後に残った文章理解を、選択肢だけ読んで塗った」。国語だから取れる問題を、時間がないという理由で捨てていた。この記事は、その3問を、翌年に3問取った話です。

行政書士試験の構造の記事で、基礎知識の足切りの怖さを書きました。この記事は、その足切りを「守る」ための話です。基礎知識は14問、各4点で56点。合格には、法令等の122点以上と合計180点以上に加えて、基礎知識で24点以上、つまり6問以上の正解が要ります。法令で200点取っても、ここが5問なら不合格。範囲が広く、対策しにくいと言われる科目で、実際、法令の勉強に時間を使い切って基礎知識で落ちる受験生が、毎年います。

2024年度から、科目の名前が「一般知識等」から「基礎知識」に変わり、出題の範囲も変わりました。新しい範囲は四つ。一つ、行政書士法などの諸法令(行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法など、行政書士の業務に関わる法令)。二つ、一般知識(政治・経済・社会)。三つ、情報通信・個人情報保護(個人情報保護法、行政機関の情報公開、ITの基礎用語)。四つ、文章理解。改正の狙いは、時事的な一般知識の比重を下げ、行政書士の実務に近い法令を問うことで、受験生にとっては「対策できる範囲が増えた」変更です。

設計は、守りから組みます。目標は14問中8問。6問の足切りに対して2問の余裕を持つ。その8問を、どこで取るか。文章理解の3問は、全部取る。個人情報保護法と情報通信で2問、諸法令(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)で2問、ここまでで7問。残りの一般知識(政治・経済・社会)で1問以上。一般知識は範囲が無限で、対策しても当たるとは限らないので、「取れたら加点」の位置づけです。

文章理解の3問を、最初に書きます。長文を読んで、空欄に入る語句や文を選ぶ、段落を並べ替える、要旨に合う選択肢を選ぶ、という国語の読解問題です。法律の知識は要らず、練習すれば安定して取れます。解き方の型は三つ。一、設問を先に読み、何を問われているかを知ってから本文を読む。二、空欄補充と並べ替えは、接続詞(しかし、つまり、たとえば)と指示語(これ、それ)を手がかりに、前後のつながりで決める。三、要旨の問題は、本文にない言葉が入った選択肢、言い過ぎている選択肢を消す。過去問と、公務員試験の文章理解の問題集で練習すれば、1か月で型が身につきます。試験当日は、法令の択一のあと、時間に余裕がある状態で解く。焦ると読み飛ばすので、3問で15分を確保します。

基礎知識14問の守りの設計
範囲出題の目安目標方針
文章理解3問3問設問先読み、接続詞と指示語、消去法。3問で15分
情報通信・個人情報保護3〜4問2問個人情報保護法の条文、IT用語
諸法令(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法など)3〜4問2問条文と数字(届出期間など)
一般知識(政治・経済・社会)4〜5問1問以上直前期に薄く。取れたら加点
合計14問8問(足切り6問+2問の余裕)

個人情報保護法は、範囲が明確で、条文の知識で解けます。個人情報・個人データ・保有個人データの定義の違い、要配慮個人情報、利用目的の特定と通知、第三者提供の制限と例外、開示・訂正・利用停止の請求、個人情報保護委員会の役割。2022年の改正で行政機関と民間の規律が一本化されたので、改正後の条文で覚えます。情報通信は、IT用語(クラウド、暗号化、電子署名、マイナンバー制度の仕組み)と、行政手続きのデジタル化に関する法律(デジタル手続法、e-文書法)。ここは広く浅く、過去問に出た用語の意味を押さえます。

文章理解の解き方の型
型内容
設問を先に読む何を問われているかを知ってから本文へ
接続詞・指示語で決める空欄補充と並べ替えは、前後のつながりで
消去法本文にない言葉、言い過ぎの選択肢を消す
時間を確保する法令の択一のあと、15分を取って落ち着いて

諸法令は、新しい範囲で、対策の価値が高い部分です。行政書士法は、業務の範囲(官公署に提出する書類、権利義務・事実証明に関する書類の作成と代理、相談)、他の士業との関係、登録、義務(守秘義務、帳簿の備付け)、罰則。行政書士と司法書士の違いの記事で書いた守備範囲は、この法律の条文そのものです。戸籍法は、届出の種類と期間(出生14日以内、死亡7日以内など)、戸籍の記載事項、戸籍謄本の交付請求ができる人。住民基本台帳法は、住民票の記載事項、転入・転出の届出、住民票の写しの交付。相続の実務で毎日使う法律なので、覚えれば実務にもそのまま効きます。

一般知識(政治・経済・社会)は、範囲が定まらない分、深追いしません。直近一年の大きな制度改正(選挙制度、社会保障、税制)、国際機関の基本、日本の統計の大枠(人口、財政)、といった「教養として知っておく水準」を、直前期にニュース解説や時事対策の薄い本で確認する程度にとどめます。ここで3問取ろうとして時間を使うより、文章理解と法令で7問を固めるほうが、確実です。

現場の設計です。まず、この人の14問の内訳を、四つの範囲に分けて見ました。文章理解0問、個人情報保護・情報通信で2問、諸法令で2問、一般知識で1問。文章理解の3問が丸ごと落ちている。ここが最初の直しどころで、知識の追加ではなく、解く順番と時間の確保でした。法令の択一のあと、集中力が残っているうちに文章理解を解き、15分を確保する。過去問の文章理解と、公務員試験用の文章理解の問題集を、週に3問ずつ、二か月。解き方の型は三つ、設問を先に読む、接続詞と指示語でつなぐ、本文にない言葉の選択肢を消す。二か月後の模試で、文章理解は3問中3問になりました。

次に、諸法令。この人は行政書士法を「試験の前に一度読んだだけ」でした。行政書士法は条文が短く、業務の範囲、登録、義務、罰則で、択一2問分の知識は一週間で入ります。戸籍法と住民基本台帳法は、届出の期間(出生14日、死亡7日)と、誰が謄本を請求できるか、を中心に。この三法で2問を安定させました。個人情報保護法は、定義(個人情報・個人データ・保有個人データ)と第三者提供の例外、開示等の請求を条文で覚え直し、情報通信はIT用語を過去問の範囲で。ここで2問。合計で、文章理解3問、諸法令2問、個人情報・情報通信2問の7問が「守り」の設計です。一般知識は、直前一か月に時事対策の薄い本を一冊読んで、1問取れれば加点。

翌年の本試験の基礎知識は、14問中9問でした。文章理解3問、諸法令2問、個人情報・情報通信3問、一般知識1問。前年の5問から4問増え、そのうち3問は文章理解です。法令等は、前年より12点伸びて178点。合計214点で合格でした。前年に落ちた原因は、法令の知識ではなく、「国語だから勉強しなくても」の一言でした。

最後に、基礎知識は、法令の勉強と切り離さないことです。行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、個人情報保護法は、法令等で問われる行政法・民法の隣にある法律で、過去問ループの記事で書いた確信度の周回に、そのまま混ぜて回せます。足切りは、別科目の追加ではなく、法令の勉強の延長で守る。それが、時間のない受験生の設計です。

「国語だから」と言った人は、翌年、文章理解を試験の中で一番確実な3問と呼ぶようになりました。足切りは、別科目の追加ではなく、法令の勉強の延長で守る、と本文の最後に書きました。文章理解だけは、その延長線上にありません。だから、解く順番と15分を、先に決めておく。この記事の二つ目の表は、その15分の使い方です。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-09-15

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

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