学び・資格 2026-10-20
宅建の次に賃貸不動産経営管理士 ― 11月15日の試験まで4週間、宅建と重なる範囲、合格してから「業務管理者」になるまで
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理会社が営業所ごとに置く「業務管理者」になれる資格です。2026年度の試験は11月15日(日)、四肢択一50問・120分。宅建の民法・借地借家法と重なる範囲、宅建に無い管理業法・建物設備・金銭管理、宅建士が業務管理者になる別の道(指定講習)、合格から登録までの手続きを整理し、宅建を受け終えた人と組んだ4週間59時間の配分を書きます。
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「宅建が終わったので、11月の賃管士も受けてきます」。10月18日の宅建試験のあと、賃貸の管理会社で働く30代の女性から連絡がありました。賃管士は、賃貸不動産経営管理士の略です。会社の勧めで、夏のうちに両方を申し込んでいたそうです。宅建の勉強が終わった今、残り4週間で何をすればいいか、という相談でした。
まず、資格の役割です。2021年から、賃貸住宅の管理を仕事として請け負う会社は、管理する戸数が200戸以上なら国土交通大臣の登録を受けなければならなくなりました(200戸未満は任意の登録)。登録した会社は、営業所や事務所ごとに「業務管理者」を1人以上置きます(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律12条)。業務管理者になれるのが、登録した賃貸不動産経営管理士と、宅建士で決まった講習を修了した人です。業務管理者は、その営業所で結ぶ管理の契約の中身や、建物の維持保全のやり方が適切かを管理・監督する役目です。
上の道は、賃貸不動産経営管理士試験に合格し、実務経験2年または実務講習の修了で登録して、業務管理者になる。下の道は、宅建士が指定講習を修了して、業務管理者の要件を満たす。業務管理者は、管理戸数200戸以上で登録した管理会社が、営業所ごとに1人以上置く。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律3条・12条、賃貸不動産経営管理士協議会の案内による(2026年10月時点)。
2026年度の試験は11月15日(日)、午後1時から3時までの120分で、四肢択一が50問です。受験手数料は1万2,000円で、申込みは9月30日で締め切られています。賃貸不動産経営管理士講習を修了した人は、50問のうち5問が免除され、45問を解きます。合格発表は12月24日の予定です。合格点は年によって変わり、協議会が発表します。試験会場は全国41地域にあり、住んでいる場所に関係なく申込みのときに選びます。
出題の範囲は、協議会の実施要領に六つ並んでいます。管理を請け負う契約(管理受託契約)、建物の維持保全、家賃・敷金・共益費などのお金の管理、賃貸住宅の賃貸借、管理業法、そして管理の実務です。このうち、宅建の勉強がそのまま生きるのは、賃貸借の部分です。民法の賃貸借、敷金、借地借家法の更新や正当事由、定期借家は、宅建の権利関係で一度通っています。出題の基準は2026年4月1日に施行されている法令で、統計の数字も4月1日の時点で公表されているものから出ます。宅建と同じく、4月以降の法改正は追わなくてかまいません。
宅建に無いのは、三つです。一つ目は管理業法そのもので、管理受託契約の前に管理会社が建物の持ち主に説明する重要事項、契約の書面、お金を会社の財産と分けて管理する決まり、定期的な報告などです。サブリース(会社が建物を借り上げて、入居者に又貸しする形)の勧誘や契約の決まりも、同じ法律に入っています。二つ目は建物と設備で、給水・排水、電気、ガス、エレベーター、消防用の設備の点検の周期など、数字の多い分野です。三つ目は管理の実務で、原状回復の考え方、家賃の滞納への対応、保険、税金などです。
4週間の時間を数えました。10月20日から試験前日の11月14日までで、平日が18日、土日と文化の日が8日。平日1.5時間、休日4時間で、27時間と32時間、合計59時間です。配分は、管理業法(サブリースを含む)18時間、建物と設備12時間、賃貸借とお金の管理10時間、管理の実務と税・保険9時間、過去問の通しの演習10時間。足すと59時間です。賃貸借に10時間しか割かないのは、宅建の直後で記憶が新しいからです。
| 分野 | 時間 | 宅建との重なり |
|---|---|---|
| 管理業法(管理受託契約・サブリース) | 18時間 | 無し |
| 建物と設備(維持保全) | 12時間 | 無し |
| 賃貸借とお金の管理 | 10時間 | 民法・借地借家法が重なる |
| 管理の実務・税・保険 | 9時間 | 一部(税) |
| 過去問の通しの演習 | 10時間 | ― |
| 合計 | 59時間 | 平日1.5時間×18日+休日4時間×8日 |
過去問は、協議会のページに過去の試験問題が出ています。私が勧めるのは、管理業法の問題を、条文の「誰が・誰に・いつ・何を」に分けて読むやり方です。重要事項を説明するのは誰か(管理会社)、相手は誰か(建物の持ち主)、いつまでにか(契約の前)、何を書面で渡すか。宅建業法を「誰が誰に売るか」で整理した人なら、同じ読み方が使えます。建物と設備は、点検の周期や数字を表にして、毎日1回見るだけにします。
本番の時間は、120分で50問です。宅建と同じ、2時間で50問の速さなので、宅建の本番で身につけた1問2分強の配分がそのまま使えます。四肢択一なので、選択肢の数は宅建と同じ四つ。迷った問題に印を付けて先に進み、最後に戻る、という解き方も同じでかまいません。違うのは、建物と設備の問題で、知らなければ考えても答えが出ない数字の問題が混じることです。そこは考え込まずに、分かる問題に時間を回します。
5問免除の講習についても書いておきます。賃貸不動産経営管理士講習を修了すると、試験の50問のうち5問が免除されます。2026年度の試験では、2025年度と2026年度の講習を修了した人が45問を解きます。今年申し込んだ人が今から講習を受けても今年の試験には間に合いませんが、来年受けるつもりなら、講習を先に済ませておくと、免除の5問ぶん勉強の範囲が狭くなります。宅建の登録講習と5問免除の記事に書いたのと、同じ考え方です。
合格したあとの手続きも書いておきます。試験に合格しただけでは、賃貸不動産経営管理士を名乗れません。登録には、管理の仕事の実務経験が2年以上あるか、それと同じと認められる実務講習を修了していることが必要で、登録料は税込6,600円です。協議会が示している流れの図では、資格の付与は4月1日とされています。合格から1年以上たってから登録するときは、登録講習を受けてからになります。宅建士の場合は、賃管士に合格しなくても、指定講習を修了すれば業務管理者の要件を満たせます。会社が求めているのがどちらなのかは、先に確かめておくと、無駄がありません。
この女性は、宅建の自己採点の結果を待ちながら、4週間を配分どおりに進めることにしました。会社で毎日見ている管理受託契約の書類が、そのまま管理業法の問題の場面になるので、条文と書類を見比べながら読むと覚えやすかったそうです。
管理会社の中では、宅建士と賃管士の両方を持つ人が重宝されます。入居者を探して契約するまでが宅建士の場面、契約したあとの建物とお金の管理が賃管士の場面で、一つの部屋の一生を両方の目で見られるからです。資格手当を両方に出している会社もあります。どちらを先に取るかで迷う人には、宅建を先に、と私は答えています。賃貸借の範囲が重なるので、宅建の勉強が賃管士の半分の下地になるからです。
賃管士は、管理会社で働く人だけの資格ではありません。相続でアパートを受け継いだ人が、管理会社と結ぶ契約を読むときにも、この範囲の知識が役に立ちます。宅建の勉強をしたばかりの人なら、賃貸借の部分はもう半分済んでいます。残りの半分を4週間で積む。その配分を守ることが、合格への近道です。
執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-20
この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。
参考(公式)
この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-20 確認)。
- 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会「令和8年度 試験実施要領」 ― 試験日2026年11月15日(日)13時〜15時、四肢択一50問(講習修了者は45問)、受験手数料12,000円、合格発表12月24日(予定)、登録には実務経験2年またはそれと同等の講習、登録料6,600円
- 同協議会「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」 ― 管理戸数200戸未満の事業者は任意登録、登録の更新は5年ごと
- e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」 ― 3条(賃貸住宅管理業の登録)、12条(営業所・事務所ごとに業務管理者を1人以上置く)