学び・資格 2026-10-07

試験直前の2週間 ― 新しい教材を増やさず、不安な肢だけを回す

試験まであと2週間になると、新しい問題集に手を出したくなります。けれど直前期に点を伸ばすのは、知らないことを増やすことより、「自信がなかった肢」を一つずつ潰すことです。不安な肢が210肢ある人が、14日でどう回すか、日割りの数字、前日と当日の過ごし方、持ち物の確かめ方を、宅建・行政書士・海事代理士の受験に共通する形で整理します。

目次を見る →

この記事の位置: 資格を選ぶ・勉強の形を決める → [勉強法の土台] → 宅建士 → 行政書士 → 海事代理士

試験の2週間前に、相談に来られた社会人の方がいました。模試は32点。「あと数点なのに足りない。もう一冊、問題集を買ったほうがいいですか」。机の上には、すでに問題集が4冊。最後の1冊を買えば何かが変わる、と思ってしまう気持ちは、よく分かります。

先に結論です。直前の2週間は、増やす期間ではなく、固める期間です。新しい教材に手を出すと、知識は増えても、すでに覚えたはずの部分がぼやけます。点を伸ばすのに効くのは、いままで「自信がなかった」「間違えた」肢を、本番までに一つずつ「自信あり」に変えることです。

まず、14日前に、手元の問題集と過去問を新しく買い足さないと決めます。教材の数は、いまのままで足ります。買い足すお金と時間は、すでに持っている教材を回すほうに使います。

次に、「不安な肢」の一覧を作ります。過去問ループのように、肢ごとに正誤と確信度(どれくらい自信があったか)を記録している人は、「間違えた肢」と「正解したが自信がなかった肢」を抜き出せば、それが一覧です。記録していない人は、いま手元の問題集に付いている印(✕や?)から数えます。この家の例では、不安な肢が210肢ありました。

日割りは、割り算で決めます。14日間のうち、最後の2日(前日と、その前日)は軽く見直すだけにするので、回すのは12日間です。210肢をむやみに均等に割ると、1日17.5肢になって、続けにくい。そこで、最初の7日間(14〜8日前)は1日15肢で105肢、次の5日間(7〜3日前)は1日21肢で105肢、と二段にします。合計は105+105=210肢で、1肢2分として、1日30〜42分の計算です。前半に軽めに始めて、後半に増やす形なので、思ったより続きます。

直前2週間の日割り ― 不安な肢210肢を、二段で回す
直前2週間の日割り ― 不安な肢210肢を、二段で回す14〜8日前は1日15肢を7日間で105肢、7〜3日前は1日21肢を5日間で105肢、合わせて210肢。前日とその前日は軽く見直すだけで、当日を迎える。14〜8日前(7日)14〜8日前(7日) 1日15肢 → 105肢1日15肢 → 105肢 7〜3日前(5日)7〜3日前(5日) 1日21肢 → 105肢1日21肢 → 105肢 前々日・前日前々日・前日 軽く見直す軽く見直す 当日 105 + 105 = 210肢(1肢2分で、1日30〜42分)105 + 105 = 210肢(1肢2分で、1日30〜42分)

14〜8日前は1日15肢を7日間で105肢、7〜3日前は1日21肢を5日間で105肢、合わせて210肢。前日とその前日は軽く見直すだけで、当日を迎える。

肢の数はこの家の例です。ご自身の数に置き換えて、前半を軽く、後半を少し増やします。

1週間前には、本番と同じ時間で一度、通しで解きます。時間配分と、分からない問題で止まる癖があるかを確かめるためです。点数は気にしなくて構いません。分からない問題には印を付けて先へ進み、最後に戻る。この練習を一度でもしておくと、当日に落ち着きます。解いたあとで、間違いの原因が「知識がない」か「読み違い」かを分けておくと、残りの日の回し方が決まります。

前日は、勉強を早めに切り上げます。新しいことは覚えず、赤で囲んだ表や、間違いの多かった肢を、短い時間で眺めるだけ。夜更かしして詰め込んでも、翌朝の頭の働きが落ちるぶん、得になりません。会場の場所と、そこまでの経路、集合時刻は、受験案内で前日までに確認します。持ち物は、受験票、筆記用具、時計など、受験案内に書かれた物を、前日の夜に机の上へそろえます。

直前の2週間に「やらないこと」も、書き出しておきます。新しい問題集を買う。苦手分野を最初から読み直す(時間が足りません)。ほかの人の合格体験記を読み漁って、勉強法を変える。夜中まで続けて、睡眠を削る。どれも不安を一時的に和らげるだけで、点にはつながりません。「やらないことリスト」を、日割り表の横に書いておくことをすすめます。

不安な肢の中身は、二種類に分けると回しやすくなります。「知らなかった」肢(知識の穴)と、「知っていたのに間違えた」肢(読み違い・勘違い)です。前者は、理由を一行で書き出して覚え直す。後者は、問題文のどこを読み違えたか(「誤っているもの」を「正しいもの」と読んだ、など)に印を付ける。読み違いは本番でも出るクセなので、残り2週間で直しやすい部分です。

本番の時間配分も、数字で決めておきます。たとえば、50問を120分で解く試験なら、見直し用に20分を残して、100分で50問、1問あたり2分が目安です。2分で方針が立たない問題は、印を付けて飛ばします。この数字は一例で、試験によって問題数と時間が違うので、受験案内で確かめた数字に置き換えてください。

本番と同じ時間帯に、頭を慣らすことも、直前期にできます。午後に始まる試験なら、2週間のうち何日かは、その時間帯に机に座って解く。朝型の人が午後に集中できないのは、よくある落とし穴です。食事と寝る時間も、本番の日に合わせて、1週間前から少しずつ寄せていきます。試験の開始時刻は、受験案内で確かめてください。

不安な肢の一覧は、一枚の紙か、赤シートで隠せる形にまとめて、持ち歩きます。机に向かう30〜42分とは別に、通勤や休憩のすきま時間に、眺める。机で解く時間と、眺める時間を分けておくと、毎日の勉強が同じ時間でも、見直しの回数が増えます。

模試の点と目標の差を、問題数に直しておくと、気持ちが落ち着きます。目標が35点で模試が32点なら、差は3問。50問あるうちの3問です。不安な肢の中から、3問分を取りこぼさない状態にする、と考えれば、残り2週間の仕事は小さく見えます。足りないのは、知識の量ではなく、いまある知識を本番で出せる形に整えることです。

当日は、朝、勉強しすぎないこと。直前に新しい問題を見て、解けないと焦るのが、一番の損です。見るのは、自分で作った不安な肢の一覧と、いつも間違える表だけ。本番では、一問に時間をかけすぎません。迷ったら印を付けて先へ進み、全問を一周してから、印の付いた問題に戻ります。マークシートは、最後に全部塗り終わってから、ずれていないか1問目から確かめる、と決めておきます。

この家の方は、新しい問題集を買わず、210肢を二段の日割りで回しました。2週間前に「何をしないか」を決めたことで、毎日やることが決まり、焦りが減った、と話してくれました。点数の結果は、ここには書きません。直前期の不安は、勉強量の不足から来るより、やることが決まっていないことから来ることが多いのです。

受験の案内は、資格ごとに実施機関が違います。試験日、会場、受験票、持ち物、注意事項は、その年の最新の案内で、ご自身で確かめてください。この記事の日割りは、不安な肢が210肢の場合の一例です。ご自身の数字に置き換え、肢の数を12日で割れるように二段か三段に分ければ、同じ形で使えます。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-07

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-07 確認)。

あわせてどうぞ

解説記事一覧