学び・資格 2026-09-29

宅建の「税・その他」8問の攻め方 ― 税2問・価格1問・免除科目5問を、直前の3週間で拾う

宅建試験の50問のうち、税・価格の評定・免除科目(住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物)の8問は、範囲が広いわりに1問ずつしか出ません。全部を追うと時間が足りなくなります。取る問題と捨てる問題を先に決め、直前の3週間・21時間で6点を拾う計画を、分野ごとの勉強の仕方と一緒に書きます。

目次を見る →

この記事の位置: 資格を選ぶ・勉強の形を決める → 勉強法の土台 → [宅建士] → 行政書士 → 海事代理士

「業法と民法は、やっと形になってきました。でも、税とその他が手つかずです。あと3週間しかありません」。宅建の試験を控えた知人から、9月の終わりにこう相談されました。テキストの最後の百ページほどが、ほぼ白いままでした。

宅建試験は50問・2時間で、出題の範囲は宅建業法施行規則8条の七つの項目に分かれています。そのうち、税に関する法令(4号)、需給に関する法令と実務(5号)、価格の評定(6号)、土地と建物(1号)から出る8問を、ここでは「税・その他」と呼びます。例年の内訳は、税が2問(地方税1問・国税1問)、価格の評定が1問、そして住宅金融支援機構・景品表示法・統計・土地・建物が1問ずつの5問です。この5問は、宅建業に勤めている人が登録講習を修了すると免除され、45問で受験できます(1号と5号の免除)。

「税・その他」8問の中身(例年の内訳)
「税・その他」8問の中身(例年の内訳)13%13%13%13%13%13%13%13%地方税 1問国税 1問価格の評定 1問住宅金融支援機構 1問景品表示法 1問統計 1問土地 1問建物 1問

地方税 1問(13%)、国税 1問(13%)、価格の評定 1問(13%)、住宅金融支援機構 1問(13%)、景品表示法 1問(13%)、統計 1問(13%)、土地 1問(13%)、建物 1問(13%)

機構・景表法・統計・土地・建物の5問は、登録講習の修了者は免除(45問で受験)。

8問は、問題数だけ見れば権利関係や業法より少ないですが、範囲が広い。所得税の特例、登録免許税、印紙税、贈与税の特例、不動産取得税、固定資産税、地価公示法、不動産鑑定評価基準、機構法、景表法、統計、地形、建築構造。全部を同じ深さでやると、3週間では終わりません。だから、先に「取る問題」と「落としても仕方ない問題」を分けます。

取りやすいのは免除科目の5問です。統計は、直前に最新の数字を覚えれば取れる問題で、地価公示(毎年3月公表)、建築着工統計、法人企業統計、国土交通白書などから出ます。最新版を試験の1週間前に見るのが一番効きます。景品表示法は、不動産の広告のルール(徒歩1分=80メートル、「新築」と書ける条件、おとり広告の禁止など)で、業法の広告規制と一緒に覚えると定着します。住宅金融支援機構は、業務の範囲(証券化支援、直接融資ができる場面)を覚えれば形が決まっています。土地と建物は、常識で判断できる肢が多く、過去問を2周すれば傾向が見えます。

統計の覚え方には、こつがあります。数字の細かい値より先に、「前の年より増えたか減ったか」「何年連続か」を覚えることです。選択肢は「増加した」「減少した」を入れ替えて作られることが多く、向きが分かれば二択まで絞れます。そのうえで、地価公示なら住宅地・商業地・全用途の変動率の向き、着工統計なら新設住宅着工戸数の総数と持家・貸家・分譲の増減、と項目を決めて、A4一枚にまとめます。

税の2問は、地方税が不動産取得税か固定資産税、国税が所得税の譲渡の特例、登録免許税、印紙税、贈与税の特例のどれか、という形です。地方税の2税は、課税標準・税率・免税点・特例(住宅の控除額など)が限られているので、表にして覚えれば1問を取れる確率が上がります。国税は範囲が広く、どれが出るか読みにくいので、深追いせず、過去問で繰り返し出ている論点だけを押さえます。KuraLabの解説記事でいえば、不動産取得税の記事で書いた税率の表が、そのまま試験の範囲です。

地方税の覚える量を、具体的に書いておきます。不動産取得税は、標準税率4%のところ、土地と住宅は特例で3%、宅地の課税標準は価格の2分の1、新築住宅は一定の要件で1,200万円を控除、免税点は土地10万円未満など。固定資産税は、標準税率1.4%、住宅用地は200平方メートルまでが課税標準6分の1・それを超える部分が3分の1、新築住宅は一定期間税額が2分の1、免税点は土地30万円・家屋20万円。特例の多くには期限があり、延長されることもあるので、試験年度の4月1日時点の数字をテキストの最新版で確かめます。A4一枚の表に収まる量で、ここが1点になります。

価格の評定は、地価公示法と不動産鑑定評価基準のどちらかが出ることが多いです。地価公示法は、標準地の選び方、公示の手順、誰が何をするか(土地鑑定委員会、不動産鑑定士)という手続きの問題で、条文の数が少なく取りやすい。鑑定評価基準は、原価法・取引事例比較法・収益還元法の三つの手法の中身を問われます。四つの地価の記事で書いた、公示価格が何に使われているかを知っていると、条文の意味が読みやすくなります。

勉強の仕方は、他の科目と同じです。一肢ずつ○×にする勉強法の記事で書いたとおり、1問の四つの肢を四つの○×問題に分けて解き、答えるたびに「確信あり・なし」を付けます。税・その他は範囲が広いぶん、確信のない肢が多く出ます。その肢だけを2周目、3周目で回すと、21時間でも範囲が一巡します。

免除を受けられる人のことも書いておきます。登録講習は、宅建業に従事している人(従業者証明書を持っている人)が受けられる講習で、修了すると、修了試験に合格した日から3年以内に行われる本試験で、1号と5号の5問が免除されます。免除の人は45問・1時間50分で受験し、この記事の8問のうち、残るのは税2問と価格の評定1問だけです。免除を受けない人は、この5問を自力で取る必要がありますが、裏を返せば、5問とも「覚えれば取れる」形の問題です。

知人と組んだ計画は、下の表のとおりです。試験まで3週間、平日も休日も1日1時間で合計21時間。業法と民法の時間は削らず、この1時間を上乗せしました。目標は8問中6点。建物と国税は「取れたら上乗せ」として、時間を少なめにしています。統計は最後の週に回し、試験の前日にもう一度数字を見直す予定にしました。

直前3週間・21時間の計画(目標は8問中6点)
分野問数目標点時間やること
統計112時間最後の週に最新の数字を覚える
景品表示法113時間広告のルールを業法の広告規制と一緒に
住宅金融支援機構112時間業務の範囲を表にする
土地111時間過去問2周
建物10(取れたら上乗せ)2時間過去問2周、構造の用語だけ
地方税(取得税・固定資産税)114時間課税標準・税率・免税点・特例を表に
国税10(取れたら上乗せ)4時間過去問で繰り返し出た論点だけ
価格の評定113時間地価公示法の手続きと鑑定の三手法
合計8621時間1日1時間×21日

本試験の2時間の使い方も決めておきました。免除科目の5問は問題冊子の最後(問46〜50)に並ぶことが多いですが、統計は直前に覚えた数字が頭に残っているうちに解きたいので、試験が始まったら最初に統計の1問だけ解く。そのあと業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の順に進み、最後の15分を見直しに残す。解く順番は人によって合う・合わないがあるので、模試で一度試して決めます。

配分の考え方も書いておきます。税・その他の8問で6点を取れれば、業法と権利関係の失点を少し吸収できます。逆に、ここを2〜3点で終えると、他の科目で取り返す必要が出てきます。8問は、合否を分けることがある8問です。

3週間の計画表を渡すとき、知人は「全部やらなくていいんですね」と言いました。やらないのではなく、深さを分けるのです。免除科目は浅く全部、地方税と価格の評定は表と条文で1問ずつ、国税は過去問の論点だけ。白いままの百ページは、21時間で「取る場所が決まった百ページ」になりました。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-09-29

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-09-29 確認)。

あわせてどうぞ

解説記事一覧