学び・資格 2026-10-19

行政書士試験の憲法と基礎法学の攻め方 ― 7問と多肢1問で36点。宅建の翌日から3週間で「判例の結論」と「統治の数字」を固める

行政書士試験の憲法は、例年、五肢択一5問と多肢選択1問で28点、基礎法学は2問で8点。合わせて36点です。人権は最高裁判例の結論、統治は条文の数字、多肢選択は文章の論理で半分を拾い、基礎法学は深追いしない。2026年11月8日の試験まで3週間、宅建を受け終えた会社員と組んだ58時間の配分と、10点を26点にする目標の置き方を書きます。

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「宅建、終わりました。次は3週間後の行政書士です」。10月18日の宅建試験の翌日、20代の会社員から連絡がありました。宅建と行政書士を同じ年に受ける人は珍しくありません。民法は両方に出るので、宅建の勉強がそのまま生きます。ところが、宅建に無くて行政書士にある科目が、行政法と憲法と基礎法学です。行政法は時間をかけるしかありませんが、憲法と基礎法学は、3週間でも点の取り方がはっきりしている科目です。この記事は、その話です。

2026年度の行政書士試験は11月8日(日)、午後1時から4時までです。試験研究センターは科目ごとの問題数を公表していませんが、例年の配分では、憲法は五肢択一が5問(1問4点で20点)と多肢選択が1問(空欄4つで8点)、基礎法学は五肢択一が2問(8点)です。合わせて36点、300点満点の12%です。行政法の112点、民法の76点と比べると小さく見えますが、合格の180点まであと数問、という人には、ここで取る1問が合否を分けます。試験全体の形は、行政書士試験の構造の記事に書いています。

行政書士試験の科目ごとの配点(例年の配分、300点満点)
行政書士試験の科目ごとの配点(例年の配分、300点満点)行政法112点民法76点基礎知識56点憲法28点 択一5問20点+多肢8点商法・会社法20点基礎法学8点 択一2問

行政法 112点、民法 76点、基礎知識 56点、憲法 28点(択一5問20点+多肢8点)、商法・会社法 20点、基礎法学 8点(択一2問)

試験研究センターは科目ごとの問題数を公表していません。例年の出題から並べたもので、合計は300点です(2026年10月時点)。

憲法の択一は、大きく二つの分野から出ます。一つは人権(表現の自由、職業選択の自由、法の下の平等など)で、問題のほとんどが最高裁判所の判例を素材にしています。もう一つは統治(国会、内閣、裁判所、財政、地方自治)で、こちらは条文の知識が中心です。勉強のやり方が違うので、分けて考えます。人権は判例の数が多く見えますが、過去問に繰り返し出る判例は限られていて、問題集の解説に何度も出てくるものから順に押さえれば足ります。

人権の判例は、結論から覚えます。何が争われ、合憲か違憲か、決め手になった考え方の一言。この三つだけです。例えば、薬局を開く場所に距離の制限を設けた旧薬事法の規定は、職業選択の自由を侵害するとして1975年に違憲とされました。結婚していない両親の子の相続分を半分とした民法の規定は、2013年に違憲とされ、その年のうちに民法が改正されました。反対に、夫婦が同じ氏を名乗る民法750条は、2015年と2021年に合憲とされています。問題文は判例の言い回しをそのまま使うことが多いので、判例の要旨を声に出して読むのが、短い期間ではいちばん効きます。

もう一つのこつは、違憲とされた判決を先に覚えることです。最高裁が法律の規定そのものを違憲とした判決や決定は、戦後を通じても十数件しかありません。尊属殺人を重く罰した刑法の規定(1973年)、薬事法の距離制限(1975年)、共有林の分割を制限した森林法の規定(1987年)、外国に住む日本人の選挙権を制限した公職選挙法の規定(2005年)、女性の再婚禁止期間の100日を超える部分(2015年)などです。この一覧を先に頭に入れ、それ以外の有名な判例は合憲が多い、と考えて読むと、選択肢の正誤の当たりが早くつきます。

多肢選択は、判例の文章の空欄4つに、20個の語句から選んで入れる問題です。1つ2点なので、全部分からなくても、2つ当てれば4点、3つで6点になります。文章のつながり(「しかし」「したがって」)と、空欄の前後の言葉の形から、半分は絞れます。分からなくても空欄のままにしないことです。

解く順番も決めておきます。まず20個の語句を、名詞・動詞・形容詞のような形で分けます。次に、空欄の前後の言葉から、入る形を決めます。最後に、文章の結論の部分にある空欄から埋めます。結論の空欄は、判例の結論を覚えていれば一つに決まることが多いからです。

統治は条文の数字です。法律案は、衆議院で可決して参議院で否決されても、衆議院の出席議員の3分の2以上で再び可決すれば法律になります(59条)。予算・条約・首相の指名は、両院の議決が違えば衆議院の議決が国会の議決になります(60条、61条、67条)。内閣は、衆議院で不信任の議決があれば、10日以内に衆議院を解散しない限り、総辞職します(69条)。臨時会は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣が召集を決めなければなりません(53条)。数字は似たものが多いので、表にして並べて覚えます。

統治で問われやすい数字(日本国憲法・国会法)
場面数字条文
法律案の再可決衆議院の出席議員の3分の2以上憲法59条
予算を参議院が議決しない30日で衆議院の議決が国会の議決に憲法60条
首相の指名を参議院が議決しない10日で衆議院の議決が国会の議決に憲法67条
内閣不信任の議決のあと10日以内に解散しなければ総辞職憲法69条
臨時会の要求いずれかの議院の総議員の4分の1以上憲法53条
常会の会期150日国会法10条

基礎法学は、法律の用語や考え方(「推定する」と「みなす」の違い、法律が適用される場所や時の範囲、裁判の仕組みなど)を問う2問です。範囲が広く、勉強の量の割に点が取りにくいので、私は深追いを勧めません。宅建の勉強で出てきた「みなす」と「推定する」の違いのように、知っている用語の問題だけ拾えれば十分です。過去問で2回見た用語は、もう一度出ると考えて覚えます。期間の数え方の記事も、基礎法学の素材になります。

3週間の時間を数えました。10月19日から試験前日の11月7日までで、平日が14日、土日と文化の日が6日。平日2時間、休日5時間なら、28時間と30時間で合計58時間です。配分は、行政法30時間、民法12時間(宅建の下地があるので過去問の確認だけ)、憲法8時間、基礎法学1時間、商法・会社法2時間、基礎知識5時間。足すと58時間です。憲法の8時間のうち、5時間を人権の判例、2時間を統治の数字の表、1時間を多肢選択の過去問に充てました。

この会社員の点を見ます。宅建の前に受けた模試では、憲法の択一が5問中2問で8点、多肢選択が空欄1つで2点、基礎法学は0点、合わせて10点でした。目標は、択一4問で16点、多肢選択3つで6点、基礎法学1問で4点、合わせて26点。16点の上積みは、択一4問分です。行政法と民法で同じ16点を伸ばすより、3週間ではこちらのほうが近道だと考えました。

この会社員の模試の点と、3週間後の目標(憲法・基礎法学の36点のうち)
模試目標上積み
憲法 択一(5問・20点)8点(2問)16点(4問)8点
憲法 多肢選択(空欄4つ・8点)2点(1つ)6点(3つ)4点
基礎法学(2問・8点)0点4点(1問)4点
合計10点26点16点

直前の1週間は、新しい判例に手を広げず、覚えた判例の結論と統治の表を、毎日1回ずつ見直します。模試の見直しでは、間違えた問題の判例名を書き出し、結論だけをノートの1ページにまとめます。試験の前の晩に読むのは、そのページと統治の表の2枚だけです。試験の2週間前からの過ごし方は、試験前の2週間の記事にまとめています。本番では、憲法の択一は1問3分で切り上げ、迷った問題は印を付けて先に進みます。行政法の時間を削らないことが、憲法で点を取ることより大事です。

「憲法は、覚えることが少ないんですね」。会社員はそう言いました。少ないというより、出るところが決まっているのです。判例は結論、統治は数字、多肢選択は空欄を埋める、基礎法学は拾えるものだけ。36点の科目に、3週間のうち8時間。その配分を守ることが、180点への近道です。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-19

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-19 確認)。

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