学び・資格 2026-09-09

宅建士試験の法令上の制限の攻め方 ― 8問で6問、数字を「表」で覚える

宅建士試験の「法令上の制限」は8問。都市計画法2問、建築基準法2問、国土利用計画法・農地法・盛土規制法・土地区画整理法が1問ずつ。範囲は広いのに出題は浅く、数字の暗記で取れる問題が多い。目標は6問。頻出の数字を表にして覚える、都市計画法と建築基準法は仕組みの理解から入る、農地法と国土利用計画法は「届出か許可か」の型で覚える。8問を25分で終える組み立てを書きます。

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模試の自己採点で、法令上の制限が8問中2問だった人がいました。「範囲が広すぎて、手が回りませんでした」。答案を見ると、都市計画法の開発許可の面積を全部逆に覚えていて、建築基準法の建ぺい率の緩和で角地を落とし、国土利用計画法の届出期限を「契約前」と答えていた。知らないのではなく、数字が混ざっている。この記事は、その人の2問が、本試験で7問になるまでの、一枚の表の話です。

宅建士試験の記事で50問の構造を、宅建の民法の記事で権利関係の攻め方を書きました。この記事は、法令上の制限の8問です。受験生の多くが「範囲が広くて手が回らない」と後回しにする科目ですが、出題は浅く、数字と型で取れる問題が多い。目標は8問中6問で、これを宅建業法の18〜19問、権利関係の8〜9問と合わせれば、合格点に届きます。

出題の内訳は、都市計画法2問、建築基準法2問、国土利用計画法1問、農地法1問、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)1問、土地区画整理法1問、が基本形です。年によって、都市計画法と建築基準法が1問ずつ増減し、その他の法令(景観法、道路法など)がまとめて1問出ることがあります。

都市計画法は、仕組みの理解が先です。市街化調整区域の記事で書いた区域区分、用途地域の記事で書いた13の用途地域、そして開発許可制度。出題の中心は開発許可で、「どの区域で、何㎡以上の開発に許可が要るか」「許可が不要な開発(農林漁業用の建物、公益的な建物など)」を問います。市街化区域は1,000㎡以上、市街化調整区域は規模にかかわらず、非線引き区域と準都市計画区域は3,000㎡以上、都市計画区域外は1ha以上。この数字の表を、区域の仕組みと一緒に覚えれば、2問のうち1問は取れます。もう1問は、都市計画の内容(地区計画、都市施設、市街地開発事業)や、都市計画の決定手続きで、過去問の繰り返しで対応します。

法令上の制限8問の内訳と目標
法律出題数目標方針
都市計画法2問1〜2問開発許可の面積の表+区域の仕組み
建築基準法2問1〜2問集団規定中心。用途制限は両端、緩和と斜線の適用地域
国土利用計画法1問1問事後届出の面積・期限・不要な場合
農地法1問1問3条・4条・5条、市街化区域の届出、相続の届出
盛土規制法1問1問二つの区域と許可の規模の数字
土地区画整理法1問0〜1問換地・仮換地・保留地・清算金の用語
合計8問6問25分以内

建築基準法は、二つに分かれます。一つは集団規定で、用途地域ごとに建てられる建物の用途、建ぺい率と容積率、日影規制と北側斜線の記事で書いた高さの制限、接道義務の記事で書いた道路の規定。もう一つは単体規定で、防火、避難、構造、採光、といった建物そのものの基準。出題は集団規定が中心で、「この用途地域にこの建物は建てられるか」「建ぺい率の緩和(角地、防火地域内の耐火建築物)」「容積率の前面道路による制限(幅員×0.4または0.6)」「道路斜線・隣地斜線・北側斜線の適用地域」が頻出です。用途制限の表は、全部を覚えようとせず、「住居系で建てられないもの」「工業専用地域で建てられないもの」の両端を押さえます。

国土利用計画法と農地法は、「届出か許可か、誰に、いつまでに」の型で覚えます。国土利用計画法は、一定面積以上(市街化区域2,000㎡、その他の都市計画区域5,000㎡、都市計画区域外1万㎡)の土地取引を、契約後2週間以内に市町村を経由して知事に届け出る(事後届出)。届出が不要な場合(相続、贈与、民事調停など)と、罰則の有無。農地法は、農地転用の記事で書いた3条・4条・5条の区別と、市街化区域内の届出の特例、相続の届出。この二つは、毎年ほぼ同じ形で出るので、過去問10年分で型が身につきます。

盛土規制法は、盛土規制法の記事で書いた2023年施行の新しい法律で、試験でも2024年度から出題が変わりました。規制区域の二種類、許可が要る規模(盛土で崖1m超、切土で崖2m超、盛土2m超、面積500㎡超など)、許可の申請先、工事完了の検査、既存盛土への措置命令。数字の問題が中心で、表で覚えます。土地区画整理法は、換地計画、仮換地の指定、保留地、清算金、換地処分の効果、といった用語の意味と、施行者の種類(個人、組合、区画整理会社、公共団体など)を問います。仕組みは市街地再開発の記事で書いた権利変換と似ていて、「土地を交換して整える」という考え方で読むと入りやすい。

勉強の順番と時間配分を書きます。一、都市計画法と建築基準法の仕組みを、テキストで一度だけ読む(ここは仕組みが分からないと数字が覚えられない)。二、頻出の数字を一枚の表にまとめる(開発許可の面積、国土利用計画法の面積、建ぺい率・容積率の緩和、道路の幅員、盛土規制法の規模)。三、過去問10年分を、過去問ループの記事で書いた確信度で周回する。数字の問題は「自信あり×正解」になるまで繰り返し、仕組みの問題は「自信なし」の分野だけテキストに戻る。四、直前期は、表の暗記の確認だけにする。試験当日は、8問を25分以内で解き、迷った問題は飛ばして宅建業法に進む。

覚える数字の表(一部)
項目数字
開発許可が要る面積市街化区域1,000㎡以上/調整区域は規模を問わず/非線引き・準都市計画区域3,000㎡以上/区域外1ha以上
国土利用計画法の事後届出市街化区域2,000㎡/その他の都市計画区域5,000㎡/区域外1万㎡以上、契約後2週間以内
容積率の前面道路制限幅員12m未満のとき、幅員×0.4(住居系)または0.6(その他)
建ぺい率の緩和角地+10%、防火地域内の耐火建築物+10%(両方で+20%)
盛土規制法の許可の規模盛土で崖1m超/切土で崖2m超/盛土2m超/面積500㎡超など
接道義務幅4m以上の道路に2m以上

作った表を書きます。A4一枚に、縦に法律、横に「数字」「誰に」「いつまでに」の三列。開発許可の面積は、市街化区域1,000平米、非線引き・準都市計画区域3,000平米、都市計画区域外1ヘクタール、調整区域は規模にかかわらず。国土利用計画法は、市街化区域2,000平米、その他の都市計画区域5,000平米、区域外1万平米、契約後2週間以内に市町村経由で知事へ。建ぺい率の緩和は、角地で10%、防火地域内の耐火建築物で10%、両方で20%。容積率の前面道路制限は、住居系で幅員×0.4、それ以外で×0.6。盛土規制法は、盛土で崖1メートル超、切土で崖2メートル超、盛土2メートル超、面積500平米超。合わせて38の数字が、一枚に収まりました。

その人は、この表を毎朝、通勤の電車で三分見ました。二週間で、表を見ずに書けるようになり、過去問10年分の法令上の制限80問を、確信度で三周。一周目の大○の率は34%、三周目は79%。数字の問題は、三周目でほぼ全部が大○。落ちていたのは、都市計画の決定手続きと、土地区画整理法の換地処分の効果の問題で、これは数字ではなく仕組みの問題。ここだけテキストに戻り、二時間読みました。

本試験の法令上の制限は、8問中7問。落とした1問は、その他の法令(道路法と河川法の複合問題)で、「みんな解けない」側の問題でした。この人の合計は40点で、法令上の制限は模試から5点上がっています。三か月で、テキストを読んだ時間は二時間、表を見た時間は三分×約90日で四時間半、過去問の周回が約30時間。「出題は浅く、数字と型で取れる問題が多い」と本文に書いた「浅さ」は、この時間配分の浅さです。

この科目の知識は、資格を取ったあと、そのまま実務で使います。この解説記事の土地・不動産のカテゴリの多くは、法令上の制限で覚えた仕組みの、実務での姿です。試験のための暗記が、相談の場で「役所で何を調べるか」の目次になる。8問の中で、それが一番の収穫です。

2問だった人は、一枚の表と過去問三周で7問になりました。この記事の二つ目の表は、その人が作った38の数字のうちの一部です。「範囲が広すぎて手が回らない」と言った科目は、実際には、A4一枚に収まる科目でした。手が回らないのではなく、表がなかった。表を作れば、この8問は、宅建業法の次に安定して取れる8問になります。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-09-16

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

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