土地・不動産 2026-09-26

固定資産税の課税明細書の読み方 ― 評価額と課税標準額が違う理由、明細書に載らない土地

毎年春に届く固定資産税の納税通知書には、土地と家屋を一つずつ並べた「課税明細書」が付いています。価格(評価額)と課税標準額はなぜ違うのか、住宅用地・前年度課税標準額・減額の欄の意味、税額の出し方。そして、非課税の私道のように明細書に載らない土地がある、という相続での落とし穴。母の家の明細書を持って来た女性の数字で書きます。

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「母の家は、この土地一つと建物一つです」。40代の女性は、亡くなった母宛てに届いた固定資産税の納税通知書を広げました。相続登記を自分でしようと、登記事項証明書を取る前に財産を数えに来たのです。課税明細書には、土地が1筆、家屋が1棟。私は、家の前の道のことを聞きました。「行き止まりの細い道で、奥の4軒で使っています」。その日のうちに市役所で名寄帳を取ってもらうと、明細書に無かった土地が一つ出てきました。家の前の道、42平米の4分の1の持分です。

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に、市町村(東京23区は都)が課す税金です。4月から6月ごろに納税通知書が届き、そこに土地と家屋を一つずつ並べた課税明細書が付いています。市町村が納税者に課税明細書を渡すことは、地方税法で決まっています。様式は市町村ごとに違いますが、載っている項目はほぼ共通です。

土地の欄には、所在と地番、地目、地積、価格、課税標準額が並びます。地目と地積は「登記」と「現況」の二つがあることが多く、税金は現況で計算されます。登記は畑なのに現況は宅地、という食い違いは、地目の記事で書いたとおり珍しくありません。価格が、いわゆる固定資産税評価額です。固定資産税評価証明書の記事で書いた証明書に載る数字と同じもので、相続登記の登録免許税もこの価格から計算します。

価格と課税標準額が違うのは、住宅用地の特例があるからです。家が建っている土地は、1戸あたり200平米までの部分(小規模住宅用地)は価格の6分の1、それを超える部分(一般住宅用地)は3分の1が、固定資産税の課税標準額になります。都市計画税では、それぞれ3分の1と3分の2です。明細書には、小規模住宅用地と一般住宅用地の面積の欄があり、そこに数字が入っていれば特例が効いています。家を壊すと何が起きるかは、住宅用地の特例の記事に書きました。

課税明細書の数字の流れ ― 価格から税額まで(この記事の土地165平米)
課税明細書の数字の流れ ― 価格から税額まで(この記事の土地165平米)上の段は固定資産税。価格1,980万円に住宅用地の特例で6分の1を掛けて課税標準額330万円、税率1.4%で4万6,200円。下の段は都市計画税。価格1,980万円に3分の1を掛けて課税標準額660万円、税率0.3%で1万9,800円。 価格(評価額)価格(評価額) 1,980万円1,980万円 課税標準額課税標準額 330万円330万円 固定資産税固定資産税 4万6,200円4万6,200円 ×1/6×1/6 ×1.4%×1.4% 課税標準額課税標準額 660万円660万円 都市計画税都市計画税 1万9,800円1万9,800円 ×1/3×1/3 ×0.3%×0.3% 200平米までの小規模住宅用地。家屋は価格がそのまま課税標準額200平米までの小規模住宅用地。家屋は価格がそのまま課税標準額

上の段は固定資産税。価格1,980万円に住宅用地の特例で6分の1を掛けて課税標準額330万円、税率1.4%で4万6,200円。下の段は都市計画税。価格1,980万円に3分の1を掛けて課税標準額660万円、税率0.3%で1万9,800円。

固定資産税の標準税率1.4%、都市計画税は上限0.3%で市町村により違います(2026年9月時点)。

「前年度課税標準額」の欄は、税額が毎年少しずつ上がる土地を見分ける欄です。地価の上がった地域では、課税標準額が本来の水準に届いていない土地があり、その場合は、前年度の課税標準額に一定の額を足した分まで、毎年段階的に上がっていきます(負担調整措置)。今年と前年の課税標準額が違っていたら、この途中にあると考えてください。価格は3年に一度の評価替えで決まり、2024年度の価格が2026年度まで原則として据え置かれています。次の評価替えは2027年度です。

家屋の欄には、家屋番号、種類(居宅など)、構造(木造など)、床面積、建てた年、価格、課税標準額が並びます。住宅用地の特例は土地だけの話なので、家屋は価格がそのまま課税標準額になります。新築の住宅には、一定の要件で、120平米までの部分の税額を3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火の住宅などは5年度分)2分の1にする減額があり、明細書の「減額税額」の欄に出ます。この期間が終わった年に、家屋の税額が倍近くになったように見えるのはこのためです。

税額は、課税標準額に税率を掛けて出します。固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税は0.3%が上限で、市町村によって違います。同じ市町村の中で持っている土地の課税標準額の合計が30万円未満、家屋が20万円未満なら、固定資産税は課されません(免税点)。

納める時期は、年4回に分けるのが一般的で、4月・7月・12月・翌年2月のように市町村が決めます。1年分の税金は1月1日の所有者にかかるので、年の途中で家を売ったときは、売買の契約で日割りに精算するのが慣行ですが、市町村に納めるのは1月1日の所有者です。相続の年は、亡くなった人宛ての通知書がそのまま届き、相続人が代わりに納めます。相続登記がまだ済んでいない家には、市町村から「現に所有している者」の申告を求める案内が届くことがあり、多くの市町村が条例で期限を決めています。

ここからが、相続で気をつけたいところです。課税明細書に載るのは、その市町村の中で、固定資産税がかかる土地と家屋だけです。家の前の私道のように、公衆用道路として非課税になっている土地は、明細書に載らないことがあります。免税点に届かない小さな土地も、別の市町村にある土地も載りません。明細書だけで財産を数えると、登記すべき土地が漏れます。市町村の「名寄帳」は、その人がその市町村の中に持つ不動産の一覧で、非課税の土地まで載せている市町村が多く、相続のときはこちらを取ります。全国の法務局の登記から、その人が名義人になっている不動産を一覧にする「所有不動産記録証明制度」も、2026年2月に始まりました。

もう一つ、共有の土地や家は、納税通知書が代表者1人に届きます。母が父と共有していた家なら、明細書は父の名前で届いていて、母宛ての通知書には載っていない、ということも起こります。私道の持分が漏れやすいのは、非課税であることに加えて、この共有の仕組みも重なるからです。

女性の母の家の明細書を読みます。土地は165平米で、全部が小規模住宅用地。価格は1,980万円(1平米12万円)で、固定資産税の課税標準額はその6分の1の330万円、都市計画税の課税標準額は3分の1の660万円でした。前年度の課税標準額も同じで、負担調整の途中ではありません。家屋は2004年に建てた木造2階建てで、価格は540万円。新築の減額はとうに終わっています。

税額は、土地の固定資産税が330万円×1.4%で4万6,200円、都市計画税が660万円×0.3%で1万9,800円。家屋の固定資産税が540万円×1.4%で7万5,600円、都市計画税が540万円×0.3%で1万6,200円。合計15万7,800円で、通知書の年税額と一致しました。数字を一つずつ追えば、通知書の額はたいてい明細書から再現できます。合わないときは、縦覧の記事で書いた手続きで、評価を確かめる道があります。

母の家の課税明細書と、そこから出した年税額(この記事の例)
価格課税標準額税額
土地(固定資産税)1,980万円330万円(6分の1)4万6,200円
土地(都市計画税)1,980万円660万円(3分の1)1万9,800円
家屋(固定資産税)540万円540万円7万5,600円
家屋(都市計画税)540万円540万円1万6,200円
私道の持分4分の1明細書に載らず非課税0円
合計15万7,800円

名寄帳で出てきた私道は、地目が公衆用道路、課税標準額の欄は非課税でした。相続登記では、この持分4分の1も、家と土地と一緒に登記します。非課税の私道は明細書に価格が載らないので、登録免許税の計算には、近くの宅地の価格をもとにした評価を使う扱いが一般的です。どの価格を使うかは、申請する法務局に確かめてください。女性は、私道の持分を入れた申請書の下書きを作ってから、法務局の登記相談を予約しました。

課税明細書は、税額の根拠を示す紙であると同時に、その家の財産の目録の下書きでもあります。ただし、下書きです。載っていない土地があるかもしれない、と一度疑って名寄帳を取る。家の前の道が私道なら、なおさらです。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-09-26

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-09-26 確認)。

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