土地・不動産 2026-10-11
不動産会社の免許を確かめる ― 免許番号の読み方、国交省の検索で見るところ、免許が取り消されたら契約はどうなるか
不動産の売買や仲介を仕事にする会社は、国土交通大臣か都道府県知事の免許を受けています。免許番号のカッコの数字、国交省の検索システムと処分歴の調べ方、役員一人の事情で会社の免許が取り消される欠格事由の仕組みを整理します。契約の途中で免許が取り消されても、その契約の取引を終えるまでは宅建業者とみなされ、お金が戻らないときは保証協会の弁済の仕組みがあります。3,800万円の中古マンションの例で、手付金と保証の上限を金額で示します。
この記事の位置: まず読む:値段と書類の読み方 → [買う前に確認すること] → 建てられるか・どれだけ建つか → 境界・隣地・道 → 災害と地盤 → 持っている間:税金と登記 → 売るとき → 貸す・借りる・特殊な権利
「契約したマンションの売主の会社が、免許を取り消されるかもしれないとニュースで見ました。払った手付金190万円は、どうなるんでしょう」。中古マンションを買う契約をした40代の夫婦からの電話でした。今週、上場している不動産会社の役員が、自分の有罪判決の確定を会社に伝えないまま免許が更新され、あとで分かって免許が取り消された、という報道がありました。夫婦の相手は別の会社でしたが、「うちの相手は大丈夫か」と心配になったそうです。この記事は、不動産会社の免許を自分で確かめる方法と、もし取り消されたら契約とお金がどうなるかを書いたものです。私は宅地建物取引士として、この確かめ方を契約の前に勧めています。
土地や建物の売買・交換や、その仲介・代理を仕事として行うには、免許が要ります(宅地建物取引業法3条)。事務所が一つの都道府県の中だけなら、その都道府県の知事の免許。二つ以上の都道府県に事務所があれば、国土交通大臣の免許です。有効期間は5年で、続けるなら更新を受けます。
免許番号は、「東京都知事(3)第○○○○○号」「国土交通大臣(2)第○○○○号」のように書かれています。最初の部分が免許を出した人、真ん中のカッコの数字が免許を受けた回数、最後が番号です。カッコの数字は、更新のたびに一つ増えます。(3)なら、5年の免許を2回更新した会社です(1990年代半ばまでは有効期間が3年だったので、古い会社は数字と年数が合わないことがあります)。数字が大きいほど長く営業しているという目安にはなりますが、それだけで良い会社とは言えず、(1)の会社が悪いわけでもありません。免許番号は、事務所の標識、広告、そして重要事項説明書に書いてあります。
免許番号「東京都知事(3)第12345号」は三つの部分でできている。東京都知事の部分は免許を出した人で、事務所が一つの都道府県だけなら知事、二つ以上なら国土交通大臣。カッコの3は免許を受けた回数で、5年ごとの更新のたびに一つ増える。最後の第12345号が番号で、国土交通省の検索システムでこの番号を入れると有効期間や処分歴を確かめられる。番号は架空の例。
番号は架空の例です。
確かめ方は二つあります。一つは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」です。免許番号や会社名で検索すると、免許の有効期間、代表者、事務所の所在地などが出てきます。名刺や広告の番号と同じか、有効期間が切れていないかを見ます。もう一つは、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、過去の行政処分(指示、業務停止、免許取消し)を調べられます。都道府県知事の処分は、その都道府県のホームページで公表されていることもあります。
会う人も確かめられます。重要事項説明は、宅地建物取引士が、宅建士証を見せてから行う決まりです。説明を受けるときは、目の前の人の宅建士証の氏名と、重要事項説明書の説明者の欄の氏名が同じかを見てください。事務所の入口付近には、免許番号や代表者の名前を書いた標識(業者票)が掲げてあります。広告やホームページの免許番号と、事務所の標識の番号が違っていたら、契約の前に理由を聞きます。私が実際に見た例では、移転して知事免許から大臣免許に変わったのに、古いチラシの番号のままだった、という説明のつくものでしたが、聞かなければ分からないことです。
報道にあった「欠格事由」は、免許を受けられない人の条件です(5条1項)。破産して復権していない人、拘禁刑以上の刑を受けて刑の執行が終わってから5年たたない人、宅建業法の違反や暴力に関わる罪などで罰金刑を受けて5年たたない人、暴力団員などです。大事なのは、会社の場合、役員の一人でもこれに当たれば、会社そのものが免許を受けられないことです(5条1項12号)。役員には社外取締役も入ります。免許を受けたあとに役員が当たるようになれば、免許は取り消さなければならない(66条1項3号)と書かれていて、役所に「軽い処分で済ませる」という選択はありません。会社の業績や評判とは関係なく、役員一人の事情で免許がなくなることがある、というのが、今回の報道の仕組みです。
では、契約の途中で相手の免許が取り消されたら、どうなるか。宅建業法76条に答えがあります。免許が取り消されても、その会社が結んだ契約に基づく取引を終える(結了する)目的の範囲では、なお宅建業者とみなされます。つまり、契約は無効にならず、引渡し、登記、残代金の支払いまで進められます。会社は新しい契約は結べなくなりますが、結んだ契約の後始末はできるし、しなければならない、という形です。
それでも、会社が倒れるなどしてお金が戻らないときのために、宅建業者は営業を始める前に、営業保証金を法務局(供託所)に預けるか、保証協会に入って分担金を納めるかのどちらかをしています。営業保証金の額は、本店1,000万円、支店は1か所ごとに500万円です(施行令2条の4)。保証協会に入っている会社と取引した人は、その会社が営業保証金を預けていたとしたら預けるはずの額の範囲で、保証協会から弁済を受けられます(64条の8。保証協会の認証が要ります。宅建業者どうしの取引は対象外です)。どちらの方式で、どこの保証協会に入っているかは、契約までに説明する決まり(35条の2)で、重要事項説明書の「供託所等に関する説明」の欄に書いてあります。そのほか、手付金が一定の額を超えるときは、売主の業者に保全の措置が義務づけられています。手付金の記事も参考にしてください。
この家の場合です。物件は3,800万円の中古マンションで、売主は不動産会社そのもの(自社で改装して売る会社)でした。夫婦は契約の日に手付金190万円(代金の5パーセント)を払い、残り3,610万円を二週間後の決済で払う予定です。まず、夫婦と一緒に検索システムで売主の免許番号を確かめました。都道府県知事の免許で(4)、有効期間内。処分歴の検索でも、何も出ませんでした。次に、重要事項説明書の「供託所等に関する説明」を見ました。保証協会の社員で、事務所は本店だけ。つまり、万一のときの弁済の上限は1,000万円で、手付金190万円はその中に収まります。最後に、登記簿を取りました。所有者は売主の会社で、会社が借りたお金の抵当権が付いていましたが、決済の日に司法書士が抹消の書類を確かめてから残代金を払う段取りになっていました。夫婦は予定どおり決済を終えました。
| 項目 | 金額 | 確かめたこと |
|---|---|---|
| 手付金(契約の日、代金の5パーセント) | 190万円 | 領収書。保全の義務がかかる額ではない |
| 残代金(決済の日) | 3,610万円 | 抵当権の抹消書類を司法書士が確かめてから支払い |
| 売買代金の合計 | 3,800万円 | 190万円+3,610万円 |
| 保証協会の弁済の上限(本店のみ) | 1,000万円 | 重要事項説明書の「供託所等に関する説明」 |
「ニュースを見て眠れなかったけれど、確かめ方が分かってよかった」と、ご主人は言いました。免許番号、処分歴、保証協会の欄、登記簿。どれも契約の前に、無料かわずかな費用で見られるものです。この記事の図は、免許番号の読み方を一枚にしたものです。重要事項説明を受けるときは、物件のことだけでなく、相手の会社の欄にも目を通してください。そこに、もしものときの守りが書いてあります。
執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-11
この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。
参考(公式)
この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-11 確認)。
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」 ― 3条(大臣免許と知事免許、有効期間5年)、5条1項(免許の基準。拘禁刑以上で5年、この法律違反などの罰金で5年、法人は役員が該当すると免許されない)、35条の2(供託所等に関する説明)、64条の8(保証協会の弁済。営業保証金に相当する額の範囲内)、66条(免許の取消し)、76条(取消し後も、締結した契約に基づく取引を結了する範囲では宅建業者とみなす)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行令」 ― 2条の4(営業保証金の額。主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円)
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」 ― 宅地建物取引業者の免許情報の検索