作品の仕組み 2026-09-09

相続登記ナビの仕組み ― 入力に合わせて「必要な項目だけ」が残る設計

相続登記ナビは、亡くなった人・相続人・不動産を順に入力すると、相続関係図、法定相続分、集める戸籍の範囲、登録免許税の概算と免税の可能性、申請書案のプレビューまでが一本道で出てくる本人申請の整理ノートです。あらゆる用語を並べない設計、免税チェックの根拠条文、入力をサーバーに送らない理由、できないこと(数次相続・争い・受理の保証)を書きます。

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この記事の位置: AIが作り、コードが検分する → [送らない(端末の中で完結する)] → 数字と実寸 → 教材の設計

相談に来た女性が、ノートを開きました。相続登記に必要な書類を、ネットで調べて書き写したもので、三ページにわたって「数次相続の場合」「代襲相続の場合」「遺言がある場合」と枝分かれしていました。女性の相続は、父が亡くなり、相続人は母と女性と弟の三人。遺言はなく、協議はまとまっている。三ページのうち、女性に関係があるのは、半ページでした。残りの二ページ半を読んで、女性は「自分には無理だ」と思い込んでいました。相続登記ナビは、その二ページ半を、画面から消すために作りました。

相続登記ナビは、相続登記を自分で申請しようとする人のために作った整理ノートです。亡くなった人、相続人、不動産の情報を順番に入力すると、相続関係図、法定相続分、必要書類、登録免許税の目安、申請書案のプレビューまでが一本道で出てきます。相続登記の義務化の記事で書いた「自分で申請できる相続」の人が、準備の全体を一画面で見渡せるようにする。それが目的です。

最初に決めたのは、「用語の一覧にしない」ことでした。相続登記の解説ページは、数次相続、代襲相続、遺留分、特別受益と、あらゆるケースの用語を並べがちです。配偶者と子二人の単純な相続で申請する人にとって、その大半は関係のない情報で、読むほど不安になる。そこで、入力する項目を、配偶者がいるかどうか、子の人数、相続の方法、不動産の種類と評価額に絞り、配偶者と子が相続する場合だけを扱う設計にしました。親や兄弟が相続人になる場合の戸籍の話は、画面に並べません。数次相続、代襲相続、未成年の相続人のように本人申請の範囲を超えやすい事情は、画面の「個別判断が必要な場合」の欄にまとめて示し、司法書士か法務局への確認を勧めます。

流れは五段階です。一つ、亡くなった人と相続人を入力すると、相続関係図と法定相続分が出ます。法定相続分は、配偶者が2分の1、残りを子が均等に、という相続人の範囲の記事で書いた原則で計算しています。二つ、遺言書があるか、遺産分割協議をするか、法定相続分どおりにするかを選びます。相続の方法によって必要書類と申請書の書き方が分かれるので、手順の中でそれを確かめる段を示します(今の版では、この選択で画面の表示は切り替わりません)。三つ、集める戸籍と評価証明書の範囲が示されます。戸籍の集め方の記事で書いた「出生から死亡まで」と、相続人の現在戸籍、住民票、固定資産税評価証明書。四つ、不動産の固定資産税評価額を入力すると、登録免許税(評価額の0.4%)の概算が出ます。五つ、ここまでの入力から、申請書案のプレビューが組み上がります。

四つ目の登録免許税のところに、免税チェックを組み込みました。不動産取得税と登録免許税の記事で書いた二つの免税措置、評価額100万円以下の土地の相続登記と、相続で取得した人が登記しないまま亡くなった場合の登記です。入力した評価額と相続の経緯から「免税候補」かどうかを表示し、候補なら根拠の条文(租税特別措置法84条の2の3の第1項または第2項)を示します。申請書に根拠条文を書かないと免税にならないので、申請書案の登録免許税の欄は「非課税候補(根拠条項を確認)」とし、清書するときに判定の欄の条文を書き写す、という形にしています。ただし、免税措置は期限と要件が変わるので、表示は「候補」にとどめ、申請前に法務局で確認するよう案内しています。

相続登記ナビの五段階

  1. 1 亡くなった人・相続人を入力(相続関係図と法定相続分)
  2. 2 遺言・協議・法定相続を選ぶ(相続方法で必要書類が分かれることを確かめる)
  3. 3 戸籍・評価証明書の範囲(出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍・住民票)
  4. 4 登録免許税の概算と免税チェック(評価額×0.4%、100万円以下の土地などは根拠条文を表示)
  5. 5 申請書案のプレビュー(印刷して法務局へ。受理の保証はしない)

入力した情報は、サーバーに送りません。氏名、生年月日、家族関係、不動産の所在地。相続登記の準備に入力する情報は、そのすべてが個人情報で、亡くなった人と家族の関係そのものです。それを預かる設計にはしませんでした。処理はブラウザの中で完結し、ページを閉じると消えます。暗記シートスクラッチの仕組みの記事で書いた「送らない」と同じ判断です。その代わり、途中で閉じると最初からになるので、一度に入力を終えるか、プレビューを印刷して残すことを勧めています。

できないことも、はっきり書いておきます。相続登記ナビは、本人申請の準備を整理する道具で、司法書士による代理でも、個別の法律相談でも、申請の受理を保証するものでもありません。数次相続、代襲相続、未成年の相続人(特別代理人の記事)、相続人間の争い、遺言の有効性の疑い、法務局からの補正への対応。これらは道具の範囲外で、専門家の領域です。そのことを、画面の「個別判断が必要な場合」の欄に、いつも見える形で出しています。整理した内容は、専門家に相談するときの論点メモとしても使えます。

制度の数字(法定相続分、登録免許税の税率、免税の要件と期限)は、法務省と法務局の公開情報を元に、時点を明記して置いています。制度が変われば、ナビの中の数字と条文を直します。数字が古くなっていないかは、この記事の更新日と、ナビの中の時点表示で確かめてください。

相続登記ナビができること・できないこと
できることできないこと(専門家へ)
配偶者と子など、シンプルな相続の整理数次相続・代襲相続
法定相続分・必要書類・登録免許税の目安未成年の相続人(特別代理人)
免税措置の候補と根拠条文の表示相続人間に争いがある事案
申請書案のプレビュー遺言の有効性の判断、法務局からの補正対応
専門家への相談メモとしての利用代理申請、受理の保証

使われ方の数字は、この記事には書けません。入力をサーバーに送らない設計なので、何人がプレビューまで進んだか、どの段で止まったかは、KuraLabの側に記録が残らないからです。迷いやすいのは二段階目、「遺言書があるか、協議をするか、法定相続分どおりにするか」の選択だと考えています。協議書がまだない人も、協議書は、この選択のあとで作っても間に合います。遺産分割協議書の記事を合わせて読んでください。

免税措置には期限があり、税制改正で延長されることがあります。この種の数字は、ナビの中に書いてあるだけでは古くなるので、ナビには制度情報の確認日(いまは2026年8月11日)を置き、記事の更新日と合わせて、どちらを見ても「いつの制度か」が分かるようにしています。申請の前には、法務局の案内で期限を確かめてください。

「できないこと」の欄は、使い方の中で大事な役目を持っています。数次相続、代襲相続、未成年の相続人、相続人間の争い。こうした事情がある人にとって、この欄が「ここから先は専門家の範囲です」の合図です。ここで手を止めるのは、失敗ではなく、この道具の目的どおりの結果です。自分でできる人を進ませ、できない人を止める。止めた先に、何を相談すればいいかを一行で示す。その一行が、専門家に会うときの最初の質問になります。

道具として目指したのは、「相続登記を自分でできる人が、できると分かる」ことです。全部の人が自分でできるわけではありません。できる人が、できないと思い込んで諦めない。できない人が、できると思い込んで進まない。その線を、入力に合わせて引くのが、この道具の仕事です。

三ページのノートを持って来た女性は、ナビで入力を終えて、プレビューを印刷し、法務局に自分で申請しました。補正は一回、住民票の写しの種類の違いで、窓口で直して終わりました。ノートの二ページ半は、女性の相続には最後まで出てきませんでした。「できる人が、できると分かる」と最後の段落に書きました。女性が要らなかった二ページ半を、画面から消す。それが、この道具の仕事です。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-03

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

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