離婚・家族 2026-10-05

調停・裁判で離婚が決まったあとの離婚届 ― 10日以内、証人なし、調書の謄本を添えて

家庭裁判所の調停や判決で離婚が決まったら、役所に出す離婚届は協議離婚の届とまったく別物です。離婚は調停成立・判決確定の日にすでに成立していて、届はその報告。期限は10日、出すのは申立てをした人、相手の署名と証人は要りません。添える書類(調書の謄本・確定証明書)、お金の条項を見せずに済む省略謄本、同じ日に出す名字の届まで、実際の流れと費用で整理します。

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この記事の位置: 別居前・離婚を考え始めたら → 離婚の中身を決める → [書面にする・届を出す] → 離婚が成立したら → 離婚後の生活 → 状況別(当てはまる方だけ)

金曜の夕方、家庭裁判所の調停で離婚が成立した40代の女性から、週明けの月曜に電話がありました。「調停委員さんに『10日以内に届を出してください』と言われました。離婚届は、元の夫にも署名してもらうんですか。証人も二人要るんですよね」。どちらも要りません。調停で決まった離婚の届は、二人で話し合って出す協議離婚の届とは、中身がまったく違う書類です。この記事は、その違いと、出すまでの段取りです。

まず、離婚がいつ成立するかが違います。協議離婚は、二人で書いた届が役所に受理された時に成立します。これに対して、家庭裁判所の調停で離婚に合意した場合は調停が成立した日に、審判や判決の場合はそれが確定した日に、離婚はもう成立しています。役所に出す届は、すでに成立した離婚を戸籍に載せるための「報告」です。だから相手の署名も、証人二人も要りません。届の「離婚の種別」の欄で調停・審判・判決などに印を付け、成立や確定の日を書きます。

協議離婚と調停離婚 ― 離婚が成立するのは、届の前か後か
協議離婚と調停離婚 ― 離婚が成立するのは、届の前か後か上の段は協議離婚。二人で届を書く(相手の署名と証人2人が要る)、役所が受理した時に離婚が成立し、戸籍に載る。下の段は調停離婚。調停が成立した日に離婚が成立し、そのあと10日以内に申立人だけで届を出す(証人なし、調書の謄本を添える)と戸籍に載る。審判・判決の場合は確定した日に成立し、確定証明書も添える。協議離婚協議離婚 二人で届を書く二人で届を書く 相手の署名・証人2人相手の署名・証人2人 役所が受理役所が受理 ここで離婚成立ここで離婚成立 戸籍に載る戸籍に載る 調停離婚調停離婚 調停成立調停成立 ここで離婚成立ここで離婚成立 10日以内に届10日以内に届 申立人だけ・証人なし申立人だけ・証人なし 戸籍に載る戸籍に載る 調停調書の謄本を添える調停調書の謄本を添える

上の段は協議離婚。二人で届を書く(相手の署名と証人2人が要る)、役所が受理した時に離婚が成立し、戸籍に載る。下の段は調停離婚。調停が成立した日に離婚が成立し、そのあと10日以内に申立人だけで届を出す(証人なし、調書の謄本を添える)と戸籍に載る。審判・判決の場合は確定した日に成立し、確定証明書も添える。

審判・判決で決まった場合は、確定した日に離婚が成立し、届には確定証明書も添えます。10日は成立(確定)の日を1日目として数えます。

期限と、誰が出すかは戸籍法で決まっています。調停の成立や判決の確定の日から10日以内に、申立てをした人(裁判なら訴えを起こした人)が、調書や判決の謄本(写しとして裁判所が証明したもの)を添えて届けます(戸籍法77条が63条を準用)。10日は、成立した日を1日目として数えます(戸籍法43条。民法の「初日は数えない」とは逆なので、期間の数え方の記事もあわせてどうぞ)。最後の日が土日祝日なら、次の開庁日までの扱いです。申立てをした人が出さないときは、相手の側から出すこともできます。正当な理由なく期限を過ぎると5万円以下の過料(行政上のペナルティのお金)の対象になりますが、離婚そのものは成立済みなので、遅れても離婚が無効になるわけではありません。

添える書類は、離婚の決まり方で変わります。調停離婚なら調停調書の謄本。審判離婚なら審判書の謄本と確定証明書。裁判離婚なら判決の謄本と確定証明書で、裁判の途中の和解で離婚したなら和解調書の謄本です。調停は成立したその場で効力が出るので確定証明書は要りません。審判と判決は、不服を申し立てる期間(2週間)が過ぎて確定したことを、裁判所に証明してもらいます。謄本も確定証明書も、その事件を扱った裁判所の書記官に申請して受け取ります。

調停が成立した席では、裁判官が合意した条項を読み上げ、書記官がそれを調書にします。謄本は、その日のうちに申請しておけば、後日窓口で受け取るか、郵送で届きます。郵送だと届くまでに日数がかかり、10日の期限のうち何日かを使ってしまうので、急ぐときは窓口で受け取る段取りにします。成立の席で「届に使う謄本はいつ、どこで受け取れますか」と書記官に聞いておくと、その後の数日が楽になります。

謄本で知っておきたいのが「省略謄本」です。調停調書には、離婚と親権者のほかに、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料まで書かれています。役所の届には、戸籍に載る事項(離婚したこと、成立の日、親権者)が分かれば足りるので、家庭裁判所では、それ以外の条項を省いた謄本を作ってもらえます。お金の取り決めを役所の窓口で見られたくない人は、申請のときに「戸籍の届出用の省略謄本で」と伝えます。手数料は、用紙1枚につき150円の収入印紙です。養育費の強制執行や、家の名義を移す登記では、お金や不動産の条項が載った書類が要るので、使い道ごとに分けて申請します。

同じ日に出しておくと楽な届があります。結婚で名字を変えた側は、離婚すると元の名字に戻るのが原則です。結婚中の名字を使い続けたいときは「離婚の際に称していた氏を称する届」を、離婚の日から3か月以内に出します(民法767条2項。調停や裁判の離婚にも771条で当てはまります)。この「離婚の日」は調停が成立した日なので、離婚届を出した日から数えるのではありません。元の名字に戻る人は、親の戸籍に戻るか、自分が筆頭者の新しい戸籍を作るかを、離婚届の欄で選びます。子を自分の戸籍に入れたいときは、家庭裁判所の「子の氏の変更」の許可を得てから入籍の届を出します。この流れは、子の姓と戸籍の記事に書きました。

相手が申立人だった場合も確かめておきます。夫が調停を申し立てていたなら、届を出すのは夫です。夫が出さなければ、妻の側から調書の謄本を添えて出せます。放っておくと、戸籍の上では結婚したままに見え、児童扶養手当や健康保険の切替えに要る書類がそろいません。どちらが申立人かは、調書の一枚目の当事者の欄に書いてあります。

届を出す場所は、本籍地か、届を出す人の住所地(所在地)の市区町村です(戸籍法25条)。本籍地でない役所に出すと、戸籍に載るまでに日数がかかることがあります。手当や保険の切替えを急ぐなら、離婚届受理証明書をその場で請求しておくと、戸籍の記載を待たずに離婚したことを示せます。郵送で出すこともできますが、不備があって戻ってくると、そのぶん期限に近づきます。期限が近いときは、窓口に持って行って、その場で書類を見てもらうほうが安心です。

この家の場合です。調停の申立人は妻で、成立は10月2日(金)。成立日を1日目と数えると10日目は10月11日(日)、翌12日はスポーツの日なので、期限は10月13日(火)の扱いでした。ただ、待つ理由はありません。電話のあった月曜のうちに、家庭裁判所で戸籍の届出用の省略謄本を2通(届に添える1通と手元の控え1通、それぞれ用紙2枚)申請し、翌日受け取りました。離婚届は妻一人の署名で、証人の欄は空欄のまま。子どもの名字と同じ名字を使い続けたかったので、結婚中の名字を称する届も同じ窓口で出し、手当の切替えに使う離婚届受理証明書もその場で請求しました。新しい戸籍ができた翌週に、戸籍謄本を1通取りました。

かかったお金は表のとおりで、合計1,400円でした。調停の申立てのときの収入印紙1,200円と郵便切手は、ここには入っていません。届そのものに手数料はかからず、お金がかかるのは、裁判所と役所で証明書を受け取るときだけです。

この家で、届を出すまでにかかったお金(2026年10月時点の手数料)
書類どこで金額
調停調書の省略謄本 2通(用紙2枚ずつ、1枚150円)家庭裁判所(収入印紙)600円
離婚届・結婚中の名字を称する届市役所0円
離婚届受理証明書 1通市役所350円
新しい戸籍の謄本 1通市役所450円
合計1,400円

調停で離婚が決まった日、多くの人は「これで終わった」と感じます。法律上はその日に離婚は終わっていますが、戸籍と、そこから先の手続きはまだです。10日、申立人、謄本。この三つを押さえておけば、届は一人で、証人なしで出せます。協議離婚の届との違いは離婚届の書き方の記事に、調停の進み方は離婚調停の記事に、届を出したあとの名義や保険の切替えは離婚後の手続きの記事にまとめました。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-05

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-05 確認)。

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