作品の仕組み 2026-10-28

THE KANJI IN YOUR NAMEの仕組み ― 名前の音を辞書の読みに当て、78字に絞り、見つからなければ「見つからない」と言う

外国の人が自分の名前を入れると、名前の音の中に読みが隠れている漢字を一つ見せる小さな作品です。Michael がマイケルになり、マイとケルに分けて KANJIDIC2 の読みを引くと9字が見つかり、KuraLab が選んだ78字に絞ると「毎」が残る。読みを作らない、意味を訳さない、名前を保存しない、という三つの決めごとと、言語版の読みの作り方を書きます。

目次を見る →

この記事の位置: AIが作り、コードが検分する → [送らない(端末の中で完結する)] → 数字と実寸 → 教材の設計

Michael と入れると、画面には「毎」という字が一つ出ます。由来の欄には「from "mai"」。マイケルという音の前半の「マイ」が、この字の読みの一つだからです。THE KANJI IN YOUR NAME は、海外の人が自分の名前を入れると、その名前の音の中に読みが隠れている漢字を見つけて、カードにして見せる作品です。名前を漢字に訳すものではありません。言葉遊びです。この記事では、その遊びがどういう手順で動いているかを書きます。

手順は三つです。名前をカタカナの音にする。その音を区切って、漢字辞書の読みに当てる。当たった字を、KuraLab が選んだ字に絞る。どの段階でも、作品の側で読みや意味を作らない、と決めています。

一つ目は、名前を音にする段階です。英語版には、よくある名前1,000件の読みの表があり、Michael ならマイケル、Hannah ならハンナを返します。綴りから読みが一つに決まらない名前(328件)には印を付けていて、その名前のときは「読みが一つではない」と画面に出します。どの名前でも、出てきたカタカナは利用者が直せます。表に無い名前なら、作品は読みを推測せず、自分で入れてください、と頼みます。名前の読みを一番よく知っているのは本人だからです。

スペイン語・ポルトガル語・フランス語・イタリア語・インドネシア語・トルコ語の版では、表ではなく、それぞれの言語の綴りと発音の決まりでカタカナにします。José はホセ、João はジョアン、Lucia はルチアです。スペイン語の j はハ行、イタリア語の語末の cia はチア、という置き換えを順番に当てていきます。決まりで作る仮の読みなので、ここでも「違ったら直してください」と出します。

二つ目は、音を区切って辞書を引く段階です。辞書は、漢字の読みと意味を集めた KANJIDIC2 から作った索引で、2,931通りの読みと1,967字が入っています。まず名前の音全体を引き、次に前半と後半に分けて引きます。マイケルは4音なので、マイとケルです。これで何も当たらなければ、名前の中の2音か3音の並びを端から順に引きます。辞書の索引は約700KBあるので、ページを開いた直後には読み込まず、画面が落ち着いたときと、最初に検索したときに読み込みます。

マイケルの場合、マイで8字、ケルで1字、合わせて9字が辞書に当たります。詣・参・舞・米・埋・妹・枚・毎・蹴。どれも KANJIDIC2 に「マイ」または「ケル」の読みが載っている、本物の読みです。ただ、名前のカードに「埋」や「蹴」が出てきたら、受け取った人は困ります。

そこで三つ目の段階で、KuraLab が選んだ78字に絞ります。愛・安・明・光・和・希・夢・花・空・海・星など、前向きで身近な字の一覧です。マイケルの9字のうち、この一覧に入っているのは「毎」だけでした。並べ方にも決まりがあり、名前の頭か終わりに当たる字を先に、長い読みで当たる字を先に出し、多くても6字までにします。読みが本物かどうかは辞書が決め、名前に出してよい字かどうかは KuraLab が決める。この二つを分けておくと、辞書を新しくしても、字の選び方の責任がどこにあるかがはっきりします。

Michael から「毎」まで ― 音にする、辞書に当てる、78字に絞る
Michael から「毎」まで ― 音にする、辞書に当てる、78字に絞る左から右へ。Michael を表の読みでマイケルにする。マイケルを前半マイと後半ケルに分ける。KANJIDIC2 の索引(2,931の読み、1,967字)に当てると、マイで8字、ケルで1字、計9字。KuraLab が選んだ78字に絞ると、毎の1字が残る。下に、José はホセ、ホとセで31字が当たるが78字に入る字が無く、「見つからない」と表示する。MichaelMichael 読みの表読みの表 マイケルマイケル マイマイ ケルケル KANJIDIC2の索引 辞書に当たる字辞書に当たる字 9字9字 78字に絞る78字に絞る 毎毎 from "mai"from "mai" JoséJosé 発音の決まり発音の決まり ホセホセ ホ・セで31字が当たるホ・セで31字が当たる 78字に絞る78字に絞る 0字 →「見つからない」0字 →「見つからない」

左から右へ。Michael を表の読みでマイケルにする。マイケルを前半マイと後半ケルに分ける。KANJIDIC2 の索引(2,931の読み、1,967字)に当てると、マイで8字、ケルで1字、計9字。KuraLab が選んだ78字に絞ると、毎の1字が残る。下に、José はホセ、ホとセで31字が当たるが78字に入る字が無く、「見つからない」と表示する。

字の数は2026年10月28日時点の索引と一覧で数えたもの。読みはすべて KANJIDIC2 に載っているもので、作品の側では作らない。

José(ホセ)を入れると、ホとセで31字が辞書に当たりますが、78字の一覧には一つも入っていません。このとき画面には、確かめられた字が見つからない、と出ます。無理に近い音の字を探したり、読みを作ったりはしません。英語版の画面には「作り話をするより、見つからないと言うほうがいい」という意味の一文を置いています。見つからない名前があることは、この作品の欠点ではなく、決めごとの結果です。

カードに添える一言にも、二つの層があります。英語版のカードの短いメッセージは KuraLab が書いたもので、辞書の定義でも翻訳でもありません。言語版では、そのメッセージは出さず、KANJIDIC2 に載っているその言語の意味を、先頭から3つまでそのまま出します。KANJIDIC2 にはイタリア語・インドネシア語・トルコ語の意味が無いので、その3言語では辞書の英語の意味を出し、そう断っています。その言語の意味が辞書に無い字は、その言語版では候補から外しました(ポルトガル語で5字、フランス語で4字)。

言語版の結果の下には、タトゥーなど一生残る使い方への注意を、その言語で置いています。漢字一字には、辞書の意味のほかにも含みがあります。この作品は、名前の音と字の読みが重なる面白さを見せるもので、その字が本人を表すと保証するものではありません。体に残す前に、日本語を母語とする人に見てもらってください、と書いています。

カードの「from "mai"」の部分は、カタカナをローマ字に戻して出しています。マはma、イはi、という表で一音ずつ置き換え、伸ばす音の「ー」は書きません。辞書の索引はカタカナで引くので、利用者が直した読みもそのまま使えます。KANJIDIC2 は、EDRDG(電子辞書の研究開発グループ)が CC BY-SA 4.0 という条件で公開している辞書です。出典を示すこと、作ったものを同じ条件で公開することが条件なので、作品の下に出典を書き、出典とライセンスのページを別に置いて、索引をどう作ったか、どこからが KuraLab の編集か(78字の一覧と、英語版の一言)を分けて書いています。辞書を作った人たちがこの作品を推薦しているわけではないことも、そこに書きました。

最後に、入れた名前の扱いです。名前と読みは、使っている端末のブラウザの中だけで処理し、KuraLab のサーバーには送りません。この機能で保存もしません。辞書の索引のほうを端末に持ってくることで、名前を外に出さずに済む作りにしています。

作ってみて分かったのは、絞る段階の一覧が、この作品の性格を一番決めている、ということでした。辞書の読みだけで出すと、ほとんどの名前で何かの字が当たりますが、その多くはカードにしたくない字です。78字に絞ると、当たる名前は減ります。それでも、当たったときに受け取って嬉しい字だけを出すほうを選びました。何も出なかった人が、ふだんの呼ばれ方や愛称の音でもう一度試せるように、カタカナの欄はいつでも書き換えられるようにしてあります。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-28

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

参考(公式)

この記事の制度と数字は、次の一次情報で確かめられます(2026-10-28 確認)。

あわせてどうぞ

解説記事一覧