作品の仕組み 2026-09-09

今日の一字の仕組み ― 名前と日付で「気配」を決め、AIが一字を選び、コードが検分する

名前を入れると、今日一日の気配を表す漢字が一字、筆文字で立ち上がる。今日の一字の裏側は、名前と日付から「気配」(動・静・整・遊…)を先に決め、その気配の中から生成AIに一字と読みと理由を選ばせ、厳密に一字か・読みはひらがなか・理由は8〜30字か、をコードで検分し、通らなければ最大3回やり直し、それでもだめなら気配ごとの控えの字を出す、という流れです。同じ名前・同じ日で同じ字を返す保存の仕組みと、筆文字の描き方も書きます。

目次を見る →

この記事の位置: [AIが作り、コードが検分する] → 送らない(端末の中で完結する) → 数字と実寸 → 教材の設計

公開して三日目、知人から「今日の一字で『沼』が出た。これ、悪い字なの?」と聞かれました。その日の気配が「沼」で、選ばれた一字は「潜」、読みは「もぐる」、理由は「深いところに、答えがある日」。知人は最初、沼という字にがっかりして、理由を読んでから「あ、そういうことか」と言いました。気配の字をそのまま返さない、と決めた理由が、この一言に全部入っています。この記事は、その一字が届くまでの裏側です。

今日の一字は、名前とその日の日付から、今日一日の気配を表す漢字を一字だけ選び、毛筆の書で示すWeb Toyです。字には読みと、短い一言の理由が添えられます。オリクジの仕組みの記事で書いた「AIが作り、コードが検分し、人が決める」型の、二番目の作品です。一字だけを返す、という小ささの裏で、何をしているかを書きます。

一つ目の工程は、「気配」を決めることです。いきなり漢字を選ぶのではなく、その日の名前に対して、まず気配を一つ決めます。気配は、動、静、整、遊、繋、放、満、研、推、沼、映、眠、充、といった一字で表される、その日の「向き」のようなもので、名前の音と日本時間の日付から、コードで決まります。同じ名前・同じ日なら同じ気配になる。この気配が、そのあとでAIが選ぶ字の「枠」になります。「動」の日に選ばれる字と、「静」の日に選ばれる字は、違う範囲から来る。

二つ目は、AIによる選字です。気配と、その気配についての短いヒントを渡して、生成AIに「この気配の中から、一字と、ひらがなの読みと、ひとことの理由を、決まった形式で返す」よう求めます。指示の中で、気配の字そのもの(「動」の日に「動」)は選ばないこと、理由は短く、を条件にしています。返ってきたものから、決まった形式の部分だけを取り出します。

三つ目が、検分です。AIが返した一字を、コードが条件で確かめます。字が厳密に一字の漢字であること(二字や記号は不可)。気配の字そのものでないこと。不吉な字や攻撃的な字として決めた一覧に入っていないこと。表示に使う毛筆の書体に収録された字であること。読みが、ひらがな1〜8文字であること。理由が8字以上30字以内であること。一つでも外れれば、その案は捨てて、AIにもう一度選ばせます。やり直しは最大3回。それでも通らなければ、気配ごとにあらかじめ用意した「控えの字」(動なら歩、静なら凪、整なら揃、というように)を返します。AIの気分で字が来なくなることはなく、必ず一字が返る。それが、この検分と控えの役割です。読みについては、AIが返す読みが不自然になりがちな字について、表示用の読みをコード側で上書きする表も持っています。

四つ目は、再現です。選ばれた一字と読みと理由は、日本時間の日付と名前の組をキーにして、サーバーに保存します。同じ名前で同じ日にもう一度引けば、AIに聞き直さず、保存した一字を返します。「引くたびに都合よく変わる占い」にしない、というオリクジと同じ判断で、名前と日付の組で一日一字、日が改まると新しい一字、です。裏表診断の仕組みの記事で書いた「同じ答えには同じ結果」と同じく、KuraLabの作品に共通する約束です。

一字が立ち上がるまで

  1. 1 気配を決める(コード:名前の音と日本時間の日付から(動・静・整・遊…))
  2. 2 一字・読み・理由の案を作る(AI:気配の中から、決まった形式で)
  3. 3 検分する(コード:厳密に一字の漢字/気配の字でない/禁止の字でない/書体に収録/読みはひらがな1〜8字/理由は8〜30字。外れれば最大3回やり直し)
  4. 4 通らなければ控えの字(気配ごとに用意(動→歩、静→凪、整→揃…))
  5. 5 保存して再現(日付+名前をキーに保存。同じ組なら同じ一字)
  6. 6 書と共有カード(毛筆体で描画。固有URL、画像保存、X投稿)

五つ目は、書です。選ばれた一字は、毛筆体の書体で大きく描きます。この作品のために表示を整えた書体で、画数の多い字も、にじみやかすれの気配が残るように見えます。共有カードは、和紙の色の下地に、大きな一字と読み、気配、理由を配した画像として、サーバー側で描きます。結果ごとの固有URLで開け、画像として保存したり、Xへ投稿したりできます。結果URLは検索エンジンに登録しない設定で、入口は今日の一字のページだけです。

一字カレンダーの話も。運営が架空の名前で毎日一字ずつ引いた記録を、日ごとに並べて見返せるページを置いています。利用者の結果を集めているのではなく、作品の見本として運営が残している記録で、日々の一首一字として、オリクジの一首と並べて読めます。

作っている途中で見た外れ方を書きます。検分の条件を入れる前、AIに「一字と読みと理由」を求めると、二字で返ってくる(「静寂」「歩く」など)、気配の字そのものを返す、読みがカタカナや漢字混じりになる、理由が長すぎる、といった答えが混じりました。試した回数や、外れた割合は記録を残していないので、数字では書けません。こうした答えを、そのまま画面に出すわけにはいきません。条件と、最大3回のやり直しを入れてからは、外れた案は画面に出ず、3回とも外れたときは控えの字が返ります。控えの字は、気配ごとに一つずつ、私が先に決めてあります。

分担
工程誰が・何が
気配の決定、検分、保存と再現コード
一字・読み・理由の案生成AI
書体・画面・共有カード、題材の方向、控えの字運営者

読みの上書き表は、公開後に作りました。いま入っているのは、「散」を「ちる」、「沈」を「しずむ」、「脱」を「ぬぐ」、「揃」を「そろう」と読ませる、などの7字です。字としては合っていても、この作品では訓読みで、ひらがなで、その字を見た人が声に出せる読みにしたい。AIの読みは音読みに寄りやすいので、AIには機械処理用の読みとは別に、画面に出す読みも返させています。表に字を足すたびに、AIに任せる部分と、こちらで決める部分の線が、少しずつはっきりしてきます。

書体の話も一つ。最初は既製の毛筆フォントをそのまま使っていましたが、画数の多い字(「鬱」「響」「艶」)がつぶれて読めない、という問題が出ました。字を大きくするか、字を選ぶ側で画数を制限するか。選んだのは、字を大きくするほうで、共有カードの一字は、カードの高さの四割から半分ほどを占める大きさにしました。画数で選字を縛ると、「響く日」を「響」で表せなくなる。字の候補を狭めるより、見せ方で受けとめる、という順番です。

分担をまとめます。気配を決めるのはコード。一字と読みと理由の案を作るのはAI。一字か、気配の字でないか、読みと理由の形は、をコードが検分し、通らなければやり直し、最後は控えの字。書体と画面と共有カードの見え方、題材の方向、控えの字の一覧を決めているのは運営者。これは占いではなく、今日を見る角度を少し変えるための「見立て」で、選ばれた字をどう受け取るかは、読む人に委ねています。一字という小ささの中に、KuraLabの作り方の型が、そのまま入っています。

「沼」の日に「潜」が出た知人は、その週、毎日引いていました。日が変わると字が変わり、同じ日に引き直しても同じ字が出る。「占いじゃなくて、日めくりみたいだね」と言われて、それが一番近い、と答えました。気配を決めるのはコード、字を選ぶのはAI、字を確かめるのもコード、見せ方を決めるのは私。分担の表に書いたとおりで、この作品の一字は、四者で一つを出しています。

執筆:長澤 湊(宅地建物取引士・行政書士・測量士補) 内容確認日:2026-10-03

この記事は制度と手続きの一般的な説明で、個別の事案についての法律・税務の相談や判断ではありません。制度や数字は内容確認日の時点のものです。ご自身の事案は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士など、該当する専門家に確かめてください。

あわせてどうぞ

解説記事一覧