2026-08-23 ― 日々の一首と一字
今日の奉納歌 · 中吉
あの角を
かがやく自販機
りんごジュース
百円玉が
ちょうどあったよ
今日はそういう日だった。
今日の一字 · 遊
散(さん)
寄り道のたびに気が散って、それがちょうどいい一日だった。
オリクジと今日の一字から、その日に選ばれた二つを残します。工事日誌とは別の、作品のまわりに増えていく小さな読みものです。
あの角を
かがやく自販機
りんごジュース
百円玉が
ちょうどあったよ
今日はそういう日だった。
散(さん)
寄り道のたびに気が散って、それがちょうどいい一日だった。
こぬ雨を
よそに窓ふく
ねこがいて
それだけで足る
土曜の昼よ
なにもない日に、ちゃんとある。
頂(いただき)
受け皿いっぱいに届いたものを、両手でそっと持ち上げる日。
ほぼ全部
しくじってきた
ねえそれが
わりといい味
出てるじゃないか
失敗は、だいたいキャラになる。
眠(ねむり)
今日はたっぷり寝ることが、一番の仕事になる。
そのツキは
らいげつ回収
ねこのひたい
くらいとこにも
日なたはあるよ
凶でもねこはあたたかい。
沈(しず)
体が布団に沈んで、そこが今日いちばん正しい場所だった。
あの波は
さっきも同じ
ねそべって
また来た気がする
それでいいんだ
行きつ戻りつ、それが海の正直さ。
浸(ひた)
好きなものにじわじわと染み込まれていく一日だった。
さっきまで
よそのベランダに
りんごあり
気づけばなくて
それだけのこと
見えていたものが、ちゃんとあった。
脱(だつ)
するりと抜け出す日。着込んでいたものを一枚ずつ床に落とす感じ。
さいごまで
よく噛んで食べた
りんご飴
それだけのこと
今日も悪くない
ちゃんと味わえた一日。
聴(ちょう)
耳をすませて、遠くの音まで拾っていくような一日。
ゆるやかに
らせん状に日が
ねじれてく
向かい風さえ
背中を押してる
今日、全部が味方になった。
運(はこぶ)
足を動かすほど、何かが次の場所へ届く日。
こぬか雨
はらりとぬれる
るすの窓
ただいまと言えば
灯りがともる
帰ってくる場所が、ある。
揃(そろ)
バラバラだったものが今日ひとつの列に並ぶ。
けんかした
しおりのはさまる
ろくじごろ
うすくひかって
本のやけた縁
ちいさな傷も、どこかあたたかい。
徳(とく)
急がない一日は、細かな音を拾う日になる。